地域がん登録の活用について
佐々木 正行 議員(相模原市)
 質問要旨
 本県では、昭和45年から「地域がん登録」を実施しており、日本最大級の約112万もの腫瘍登録情報を保有している。
 本年1月より、「全国がん登録」が開始されたが、国からどのような形でデータがフィードバックされるのか、全く不透明である。
 「地域がん登録」からは、市区町村別の集計や2次医療圏別の集計、40年以上にわたる経年変化とそれらを用いた罹患数、死亡数の将来予測、がん患者の死因分析などが可能である。県立がんセンターには、増大する登録データを収集、分析し、がん対策に活用するための人材が配置されており、複数の解析方法を組み合わせることで、不完全な部分のデータを有効なデータとすることも可能である。このビッグデータを今後のがん対策に役立てていくべきである。
 
 そこで、これまで蓄積してきた「地域がん登録」のデータについて、今後どのように活用していくのか、所見を伺いたい。


 知事答弁
 本県では、今年1月に始まった全国がん登録に先んじて、昭和45年から独自に地域がん登録に取り組んでまいりました。
 こうして蓄積してきたデータは、レセプト情報や特定健診の情報などのビッグデータと同様、県が積極的に取り組んでいる「健康長寿社会」の実現や「未病の改善」に役立つデータであり、県民にとって貴重な財産であります。
 これまで、地域がん登録のデータは、県内外の研究者や研究機関にも提供し、がん研究の基礎的データとして利用されてまいりました。
 また、県としても、地域がん登録から得られた生存率や患者数のデータに基づいて、がん検診の受診促進やがん患者の就労支援といった取組みを進めてきました。
さらに、今年度は新たに、地域がん登録のデータから見える本県のがんの状況について、わかりやすく解説したリーフレットを作成し、県民の皆さんにがん予防や早期発見の必要性について、周知したところです。
 県では、来年度に「県がん対策推進計画」の改定を予定しており、その際には、地域がん登録のデータをもとに取組みを検討するなど、今後も、がん対策にしっかりと活用します。
 なお、活用にあたっては、がん登録の集計・分析を行う県立がんセンターと調整し、連携していきます。
 県では、今後も、「がんにならない・負けない いのち輝く神奈川づくり」の実現に向け、地域がん登録をはじめ、様々なデータを積極的に活用して、科学的根拠に基づいたがん対策を着実に進めてまいります。

 再質問
 地域がん登録の活用についての知事からの答弁で、今後の「県がん対策推進計画」の改定に、地域がん登録を活用していくというお話をいただき、大変うれしく思う。
 地域がん登録は、先ほども申し上げたように、神奈川県が昭和45年から112万の情報を登録してきた、大変貴重なデータだと思っている。その中で、地域がん登録と全国がん登録とは役割が違うということを、ぜひ認識いただきたい。
 全国がん登録は、国のがん対策のために、国が取り組んだものであって、平成28年から始まり、実際に活用できる時期は平成30年くらいからとなっており、いつデータを神奈川県にフィードバックして、それをどう加工して活用できるのか分からない。地域がん登録では、二次医療圏や市町村別にデータを加工できるが、全国がん登録ではそこまで加工できるかも分からない。その中で、神奈川県が長年やってきた地域がん登録のデータは貴重な財産であり、活用しない手はないと思っている。
 もちろん、これまでも受診率の向上などのがん対策には活用してきており、研究の基礎データとして研究者にも提供してきてはいるが、その研究成果が神奈川県のがん対策に活かされてきたかどうかは私には疑問である。
 県立がんセンター臨床研究所には、統計学、分析ができる医師あるいは医学博士であるデータサイエンティストが配置されている。データサイエンティストたちは地域がん登録の精度を上げていける解析力があるため、これからは、過去のものを使って、様々なデータを解析できるということを認識していただきたいと思う。
 その中で、昨年の今頃、世界的に有名な科学雑誌「プロスワン」に、県立がんセンターの研究員たちが、「高齢化による人口構成の変化がもたらす都市部の乳がん罹患の将来予測」という論文を投稿することができた。こうした身近にいる人材の研究データなどを、ぜひ神奈川県は掌握して、研究者と一緒になってがん対策に取り組んでいただきたいと思うので、知事の地域がん登録を活用した対策評価に向けての決意を再度お伺いしたい。

 再質問による知事答弁
 まずは、地域がん登録の件でありますけれども、議員御指摘のとおり、これは全国でも非常に希少なデータだということ、この認識を私も共有をしているところであります。国のほうでも全国的ながん登録が始まるわけでありますけれども、まだこれが国から県に対してどのような形で、データが提供されることになるのか、現段階では詳細が決まってない状況であります。そこで、全国がん登録のデータ提供について、国から情報を収集するとともに、がん登録の実務やデータ分析を担う、県立がんセンターの意見も伺いながら、考えてまいりたい、そのように考えているところであります。
 いずれにしろ、これはいま、神奈川県が進めている未病改善といったこと、こういったことも、膨大なビッグデータを処理しながら新たなものを見ていくということでありますから、既に過去でこれだけのデータを持っているということは何よりも強い、それがつながってくると非常に有効な研究成果にもつながってくると思いますので、これをしっかりと、守って、続けていきたい、活かしていきたいと考えているところであります。