公明党神奈川県議団

ホーム所属議員 重点政策 活動リポート ニュース 本会議 常任委員会 特別委員会 ご意見・ご要望

平成21年6月定例会にて代表質問を行いました。

渡辺 均 議員(相模原市)

公明党神奈川県議会議員団を代表し、通告に従い順次質問をいたします。知事におかれましては、真摯かつ前向きなご答弁をお願いいたします。
質問に入ります前に、一言、申し上げます。知事の出身でもある松下政経塾の創立者である松下幸之助氏の言葉に「かつてない困難からは、かつてない革新が生まれ、かつてない革新からは、かつてない飛躍が生まれる」とあります。
今こそ、松下幸之助氏の言葉どおり、この困難を、旧態依然としたやり方を一掃するなど、革新的な発想の転換で、本県の飛躍へとつなげていかなければならないという思いから、これから申し上げる諸問題について、提言を交えながら質問いたします。

知事の政治姿勢について

海水浴場を原則全面禁煙とする規制について

県と市町村の間の「分権」の観点から検証いたしますと、茅ヶ崎市のように、海岸も市街地と同様に「ポイ捨て禁止」条例で規制している自治体もあります。市町村では「喫煙を前提とした上で、ポイ捨て条例」で規制しているのに、市町村よりも厳しい「禁煙」を押しつけることは、知事がよく強調されている「分権」にまったく逆行しており、論理矛盾を起こしているということをまず指摘しておきます。
また、受動喫煙防止条例の際も、県議会との議論もなく、未成熟なままマスコミ向けに構想をぶちあげたため、県民意見が二分されるような混乱を招き、当初の案では、官公庁や病院などの公共施設のほか、飲食店、ホテルや風営法対象施設のパチンコ店、マージャン店なども加えて一律対象にする内容にしていたところ、風営法対象施設は規制内容の整合性から対応が難しいため、結局、対象からはずすことになるなど、場当たり的な対応を繰り返すことになったことは記憶に新しいところであります。もう少し、過去の経験から学び、県民合意を得ながら、議論を一つ一つ積み上げていくような手法をとられるべきではないでしょうか。
さらに、根本的な問題として、今回の規制の理由が、ゴミを減らす、歩きたばこでやけどなどを負う危険性をなくすなど、屋内ではなく、屋外での喫煙を制限する理由を掲げて規制を実施しようとしていることがあります。今回の理由であれば、「夏場は肌が露出し、やけどを負う可能性があるので、屋外では一定場所以外禁煙」など、どんどん禁煙の範囲を広げることが可能であります。全面禁煙への道を踏み出すということでしょうか。果たしてそこまで県が規制する必要があるのでしょうか。

そこで知事にお伺いします。

海水浴場を全面禁煙とする規制については、受動喫煙防止条例の時のような混乱や、場当たり的な修正などを避けるため、時間をかけて議論を一つ一つ積み上げ、県民合意を得られるよう進めていくべきであると考えますが、今後、どのような手順、スケジュールで進められようとしているのか、知事のご所見をお伺いします。
また、ゴミを減らす、やけどなどを負う危険性をなくすなどの理由で規制を実施することは、屋外全面禁煙にもつながりかねない発想ではないかと思いますが、いったいどのようなおつもりなのか、あわせて知事のご所見をお伺いします。

知事の掲げられているマニフェストについて

知事は6月9日の講演で、2007年春の再選時に掲げたマニフェストについて、「2年目までに約7割の達成度」との自己評価を発表され、「後半の2年間ですべてを実現できるようにしたい」と述べられました。
しかし、その内容には、問題があります。評価の低いC評価は子育て支援、高齢者介護など福祉分野が目立ち15項目であります。一方、Aは3月に制定された全国初の公共的施設受動喫煙防止条例をはじめ13項目で、11条例のうち知事多選禁止、自治基本など8条例が制定されましたが、いずれもAであります。これを見ると、「全国で初」の条例や、「先進的な取組み」にばかりに力が入り、子育て支援、高齢者介護など、県民一人ひとりに密接に関係する、地に足がついた、県として果たすべき基本的な責務である分野がないがしろにされているのがよくわかります。「福祉先進県」の知事としての情熱が感じられません。

そこで知事にお伺いします。

「全国初」「先進的」というのは、どの団体も必ず取り組まなければならない必然性が低いから、取り組めば「全国初」「先進的」になるのであって、それで「名」は上がるかもしれませんが、県民生活に密着した施策分野の「実」は上がりません。もっと地に足のついた、県民生活に密着した福祉などの分野に力を入れるべきではないかと考えますが、知事のご所見をお伺いします。

在宅重度障害者等手当の見直しについて

2月定例会での議論においては、当局から、今後の地域生活支援に向けての決意や、県民への周知を深める努力をすることは表明されたものの、その中身は具体性に欠けておりました。同様の手当をめぐっては、横浜市が2月に全廃を決定いたしましが、先行して廃止を決定した横浜市との大きな違いは、横浜市が代替策の内容や、スケジュールを明らかにしていたのに対し、本県の見直し案は、それが不透明であることであります。
県当局案によれば、激変緩和のため「1年間の経過措置を設けることにより、配慮を行う」とのことでありますが、経過措置期間である2010年度ですら、在宅重度障害者等手当は09年度の約43億円から約24億円へと減少することになります。

そこで知事にお伺いいたします。

障害者の不安を和らげ、その心と将来に希望の光をともすためには、地域生活支援施策の具体的な内容と、その実現スケジュールを示し、その実現を明確に担保することが必要と考えますが、知事のご所見をお伺いします。
また、わが会派としては「さらなる経過措置」の検討も行っているところでありますが、「さらなる経過措置」が議会側から提案された場合、県として受け入れる余地はあるのかどうか、知事のご所見をお伺いいたします。

がん対策について

市町村におけるがん検診の周知、推進について

横浜市は6月18日、国の補正予算に盛り込まれたがん対策推進事業の一環として、子宮頸がんと乳がんの無料検診を実施する、具体的には10月から半年有効の「検診無料クーポン券」や検診手帳を全額、国の補助金で作成し対象者に配ることを議決しました。横浜市は、対応を万全にするため、当初予定していた9月の定例会への補正予算案の提出を前倒しし、今定例会で議決をしたのであります。そのほか、藤沢市などでも今定例会に提出を検討し、相模原市なども7月に臨時議会を開催し提出する予定と聞いています。
こういった動きを、他の市町村にも拡大するよう、指導していくことが、県民の命を守る、県の果たすべき役目ではないかと強く感じるところであります。

そこで知事にお伺いします。

県としても、市町村に対して、国補正予算で措置された無料検診を推進するよう、強力に指導していくべきではないかと考えますが、この点につきまして、知事のご所見をお伺いいたします。

県民に対する普及啓発について

昨年の12月定例会で、わが会派の赤井議員から、子宮頸がんにおける検診促進への取組みについて質問したところ、知事は「予防や早期発見・早期治療を実現し、神奈川から、子宮頸がんで亡くなられる方を一人でも減らしていけるよう努めてまいります。」とも答弁されています。是非、国が検診の無料クーポン化を打ち出したこの機会を捉え、県としても、何らかの普及啓発の強化に乗り出していくべきではないかと強く感じるところであります。
また、受診率向上の目標設定についても、本県は取り組みが遅れております。宮城県は受診率70%、秋田県、兵庫県は受診率60%など、がん対策基本計画の目標数値50%を上回る受診率目標を設定しているのに対し、本県は、がん先進県を目指すとしながら、基本計画と同じ50%という数値目標すら掲げておりません。また、受診率の基礎調査すら毎年は行っていないと聞いています。まず目標を掲げ、その実現に向かって具体的な方策を積み重ねていく、このような姿勢ががん対策のためには不可欠なのではないでしょうか。

そこで知事にお伺いします。

今や国民病と言われるがんによる死亡率を下げるためには、がん検診の受診率向上が必須であります。そのために、県として、がん検診の効用や、がんそのものに関する県民への普及啓発への取組みを強化すべきではないかと考えますが、知事のご所見をお伺いいたします。

取組みの強化にあわせ、検診率の数値目標を設定すべきと考えますが、この点につきまして、あわせて知事のご所見をお伺いいたします。

重粒子線によるがん治療における医療費負担の軽減について

重粒子線治療は、現状では保険適用外であり、その治療費は全額患者の自己負担。治療費は300万円を超えるといわれております。100億円を超えるといわれる建設費をかけてせっかく整備するのですから、なるべく多くの県民の方が重粒子線治療を受けられるよう、何らかの方策を考えていくべきであります。兵庫県では、治療に要する費用の貸付制度がありますし、静岡県では、民間のローンにあわせ、利子補給を行っています。本来は、国民全体にかかわる問題でありますので、保険適用を国に対して強く働きかけていくことも併せて必要と考えております。

そこで知事にお伺いいたします。

重粒子線治療装置の整備を進めることは、本県のがん対策にとっても望ましいことでありますが、もっとも重要なことは、それにより一人でも多くの方が、がんから救われることであります。ハード面に一定の進捗が見られる今、患者の負担軽減や医療技術者の確保などの面も、着実に検討を進めるべきと考えますが、知事のご所見をお伺いします。

新型インフルエンザへの対応について

米軍は、軍属や基地従業員を含めれば、約2万5千人の関係者がおり、その対策は喫緊の課題であります。昨年の9月定例会において、わが会派の鈴木議員から、米軍との連携が不十分であるとの指摘を受け、その後、米軍と2回、新型インフルエンザへの対応協議のための連絡会議を行い、今回の新型インフルエンザの発生にあたっては、暫定的な連絡体制をつくったと聞いており、一定の評価をするところでありますが、6月16日には米軍基地関係者の発症も確認されたとのことであり、さらに、その先の対策についても、米軍との連携体制を一刻も早く強化すべきであります。
知事は月刊誌への寄稿で、米軍との間で、新たな「環境特別協定」の締結を目指すとされていますが、アピール性の強いことに力を入れるばかりではなく、既存の覚書などを活用し、新型インフルエンザ対策など、緊急性が高く、県民の生命、生活を守ることに直結する施策の実現に、まず力を注いでいただきたいと、一県民の立場からも、切に願うものであります。

そこで知事にお伺いいたします。

県内の米軍関係者が2万5千人にも上ることを考えれば、新型インフルエンザ発生時には、神奈川県民であると否とを問わず、本県内在住者への対応が必要となることから、在日米軍との相互支援は必須であると考えますが、知事のご所見をお伺いいたします。その際、すでに締結されている覚書の運用拡充や新たな協定締結などにより、より確固とした相互支援体制を築き上げることが必要ではないかと考えますが、この点につきましても、あわせて知事のご所見をお伺いいたします。

ドクターヘリの夜間搬送について

運航体制等や照明設備の課題等が解決されても、現状の本県の立地では、県民の命を多数救うであろうドクターヘリの夜間運航は、未来永劫実現しないことになってしまうのであります。
埼玉県が行っている「夜間へリポート」の応用、すなわち、病院近くに夜間照明設備を備えたヘリポートを作るなど、何らかの、問題点をブレイクスルーする手法は考えられないのでしょうか。立地面の問題がないヘリポートを整備し、そこから救急車で病院に搬送するなど、夜間運航の実現に向け、何らかの方策がないか、あきらめずに検討を行うべきであります。

そこで知事にお伺いいたします。

貴重な人命を救いたい、その思いは万人に共通のはずであります。立地面の問題だけであきらめることなく、さまざまな方策を検討し、ドクターヘリの夜間運航実現に向け努力していただきたいと思いますが、知事のご所見をお伺いします。

本県における森林整備について

最近、中国の企業が西日本を中心に水源地を大規模に買収しようとする動きが、昨年から活発化しているとの報道を耳にする機会がありました。中国ではペットボトルの水に対する需要が急速に伸びており、1997年から2004年の間に需要が4倍となり、年間消費量は26億ガロン、約100億リットルに達しております。
森林買収が進む原因は様々ありますが、その大きな原因は、森林が非常に安いからであります。08年末で1ヘクタールの林地の価格は用材林地、すなわち人工林が55万円。雑木林は36万円。17年連続の下落で、昭和49年の水準より安くなっております。安い森林を購入後、皆伐し、非合法ではありますが、植林を放棄すれば、採算が見込めるのであります。

そこで知事にお伺い致します。

このように、森林資源はいま、地価や木材価格が極端に下落するなかで、グローバルな買収の危機と隣り合わせにあります。いまこそ、日本文化の基盤であり、水源かん養など様々な公益的機能をもつ本県の森林資源の重要性を再認識し、守らなければなりません。そのためにも、私有林を、水源環境保全税を活用して公有林として確保するなど、水源林確保の取組みをより強力に推進すべきと考えますが、知事のご所見をお伺いします。

林業の振興について

森を守り森を育てることによって私達の暮らしを守り水を蓄えるためには、森林の手入れが不可欠ですが、そのための人材が不足しています。そこで本県が新たに打ち出した「かながわ森林塾」の取組みは、雇用対策と人材確保の面からは、時宜にかなった施策であると一定の評価をしておりますが、果たして、本県の林業は、職に就いた後、十分な生活の糧を得られるだけの「業」として十分に成り立っているといえるのでしょうか。
全国植樹祭発祥の地ともいえる本県で植樹祭が開催されるタイミングに合わせて、森林整備に不可欠な林業振興について、是非総合的な支援策を打ち出すべきではないかと思います。

そこで知事にお伺いします。

森林の循環を維持するためには、間伐材を含めた木材が積極的に利用されることが必要であります。この循環を守るため、「川上」の県産木材の生産から、「川中」の製材・加工、そして「川下」の流通・消費対策といった一体的な取組みを進めていくべきと考えますが、知事のご所見をお伺いします

木質バイオマスの活用について

バイオマスは、石油などの化石燃料とは違って、循環的に利用でき、温暖化を防ぐ、地球環境にやさしいエネルギー源であります。化石燃料の代わりにバイオマスをエネルギー利用することで二酸化炭素の追加的な発生を抑えられるため、太陽光や風力などとならんで新エネルギーとして今後の利用拡大が期待されております。
本年6月5日には我が党が中心となってとりまとめた、バイオマス燃料などの普及を促す、バイオマス活用推進基本法が成立いたしました。農林水産省や経済産業省など関係する省庁が多いため、政府が一体的に取り組めるように「バイオマス活用推進会議」を新設し、基本計画を定め、地方自治体も地域の状況に応じた推進計画をつくることとなります。

そこで知事にお伺いいたします。

森林整備過程で生じる間伐材等を利用した木質バイオマスの活用に、地球温暖化対策や水源林整備に先進的に取り組む本県こそが、積極的に取り組むべきであります。国でバイオマス活用推進基本法が制定されたこの機会を捉え、是非取り組んでいくべきではないかと考えますが、知事のご所見をお伺いいたします。