公明党神奈川県議団

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地域医療政策の推進について

高橋 稔 議員(横浜市港南区)

(1) 地域医療再生計画について

平成22年度、国が地域医療再生臨時特例交付金を拡充措置したことから、県は追加分の神奈川県地域医療再生計画の案を6月に策定し、10月に国から内示額が通知され、それを受けて本定例会に議案として補正予算案約41億円が計上されている。これらの再生計画を着実に実行することは、厳しい財政状況の中、喫緊の医療課題の解決のため、極めて重要である。
一方、知事が提唱する「いのち輝くマグネット神奈川」の実現のために、「医療のグランドデザイン策定プロジェクトチーム」が設置され、「地域に根ざした医療」などの3つの視点から検討を進め、年度内の策定を目指している。このグランドデザインで描かれる将来像を視野に入れ、来年度は保健医療施策の総合的な基本指針である「保健医療計画」の改定作業が行われていくものと考える。
そこで、今回の地域医療再生計画は、医療課題の解決に向け基金を活用していくが、どのような内容なのか、所見を伺いたい。また、現在策定中の医療のグランドデザインとの関連はどのように捉えているのか、併せて所見を伺いたい。

黒岩知事答弁

次に、地域医療再生計画についてお尋ねがありました。
国では、本年1月に、平成25年度までを計画期間として、県全体を対象にした地域医療再生計画の策定を各県に求めたところでございます。
そこで、県全域の医療提供体制の強化に向け、神奈川県保健医療計画に位置づけた施策を充実するため、救急医療、地域医療連携、精神科医療、周産期・小児医療、医療人材の養成の5つを柱とした計画を策定いたしました。
 具体的な内容として、

  • 救急医療の分野では、救命救急センターや休日急患診療所の機能強化
  • 地域医療連携では、ICTの積極的な活用
  • 精神科医療では、身体合併症のある救急患者の受入機能の強化
  • 周産期・小児医療では、NICUなどの施設整備
  • 医療人材の養成では、看護職員の資質向上や定着を図るための教育機能の強化

などの事業を位置づけたところであります。
近日中に国から約41億円の交付決定が行われる見込みでございますので、可能な事業は今年度から着手し、取組みを進めてまいります。
次に、医療のグランドデザインと今回の地域医療再生計画との関係でございます。
グランドデザインは、10年程度先を見据え、本県の医療をめぐる施策推進の理念や課題解決の方向性を示すものであります。
また、地域医療再生計画は、平成25年度までを期間とし、喫緊の医療課題に短期的に取り組む事業を位置づけた計画であります。
グランドデザインでは、例えば「地域に根ざした医療」の視点から、救急医療の充実や、周産期・小児医療の強化など、できるだけ身近で適切な医療が受けられる体制づくりなどをめざしております。
地域医療再生計画においては、グランドデザインのこうした考え方に沿って、休日急患診療所の設備整備や、NICUの施設整備など、短期的に取り組もうとする事業を位置づけているということであります。
グランドデザインの実現に向けて、地域医療再生計画に位置づけた事業を着実に推進し、医療提供体制の充実・強化を図ってまいります。

(2) 精神医療センター総合整備について

我が国の精神科医療は、「精神保健医療福祉の改革ビジョン」により、「入院医療中心から地域生活中心へ」という基本的な変え方をもとに、従来の入院による医療中心から、急性期に重点を置いた医療や患者の社会復帰支援へと役割の転換が求められている。新たな精神科医療であるストレスケア医療では、治療法のひとつである認知行動療法が健康保険の適用となり、医師だけでなく看護師などのチーム医療が必要とされていることや、他にも、思春期特有の精神障害への対応が必要となっているなど、精神科医療を取り巻く状況は変化してきている。
さらに、国の施策として、いわゆる医療観察法に基づく医療についても都道府県において実施することが必要となっている。
そこで、こうした状況に対応するため、平成21年度に精神医療センター総合整備計画を策定し、平成26年度の開院に向けて病床数323、延床面積約21,900㎡の規模の整備を進めていると承知しているが、総合整備後の精神医療センターはどのような医療機能を発揮しようとしているのか、所見を伺いたい。

黒岩知事答弁

次に、精神医療センターの総合整備についてお尋ねがありました。
精神医療センターは、芹香病院とせりがや病院の2病院からなっており、管理部門や給食調理部門が分かれているなど、病院運営の効率化が課題となっています。
また、これまで主に統合失調症や認知症の方を中心に受け入れておりまして、これまで以上に患者の個々の症状に応じた治療の必要性が増してきております。
加えて、心神喪失等の状態で重大な事件を起こした人への、いわゆる医療観察法医療など、県立の精神科病院としての新たな役割も増大しております。
そこで、芹香病院とせりがや病院を統合するとともに、新たな精神科医療に取り組むため、平成26年度の開院に向け、現在、神奈川県立病院機構が総合整備に取り組んでいるところでございます。
整備後の医療機能につきましては、精神科救急システムの基幹病院として急性期医療を充実するとともに、「入院医療から地域生活へ」という考えのもと、回復期の集中的なリハビリにより退院促進を図る機能を強化いたします。
また、近年の社会環境の変化などに伴い、思春期特有の精神疾患により社会的不適応となる若い方の増加など、精神科で対応すべき領域が拡大・多様化しております。こうした思春期医療、医療観察法医療などの特定分野の精神科医療にも新たに取り組んでまいります。
さらに、うつ病につきましては、ストレスケア専門外来の設置や、既に取組をはじめた認知行動療法、チーム医療についても充実してまいります。
こうした、民間病院では人員や施設面において実施が難しい医療につきましては、今後、県立病院として病院機構がしっかり取り組んでいけるよう、引き続き県としても支援してまいります。