公明党神奈川県議団

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認知症対策について

高橋 稔 議員(横浜市港南区)

(1) 認知症の理解促進策について

認知症により介護を必要とする高齢者の多くは、脳の機能が損なわれることで、中核症状として記憶障がいをはじめ、理解・判断力の障がい、実行機能の障がいなど様々な症状に悩まされている。
介護する家族等の介護者を悩ませるのは、幻覚や妄想を抱いたり、徘徊や暴力行為を起こしたりすることであり、そうした方に接するのは、非常に疲れるものである。県内における在宅での高齢者虐待の状況をみても、虐待を受けた方の約7割が介護認定を受け、そのうちの約6割が認知症で、介護の知識や経験の少ない息子や夫といった男性介護者が虐待者の約7割を占める状況であり、高齢者虐待の背景には認知症の理解が不足している現状が浮き彫りになったと考える。
そこで、本県では、認知症サポーター養成講座による認知症サポーター数が平成22年度末現在、9万4千人に達しているが、人口対比では47都道府県中の最下位にあるため、県の取組により来年の9月末までに約2万人を養成するとのことであり、その中には、男性介護者が認知症サポーターとなるような工夫をすべきと思うが、どのように取り組んでいくのか、所見を伺いたい。

黒岩知事答弁

次に、男性の介護者が認知症サポーターとなるような工夫に関してお尋ねがありました。
現在、市町村が実施している認知症サポーター養成講座の受講者の約7割が女性であることや、高齢者虐待の多くが、認知症の介護に悩む夫や息子などにより行われていることなどから、男性の介護者の認知症への理解が十分でないものと受け止めております。
これまでも、県や市町村において、認知症について理解を深めるため、講演会や研修など、様々な取組みを行ってまいりました。
さらに、昨年度からは、県独自の取組みとして、介護の知識や経験の少ない、働く男性に的を絞り、勤務先の企業や団体に対し、高齢者介護の理解につながる出前講座を19回実施し、422名の男性サポーターを養成いたしました。
今後は、サポーターを増やすため、企業と協力し、企業内でキャラバン・メイトとしてサポーター講座の講師役となってもらえる、そんな方を養成しまして、企業内研修等で自主的にサポーター養成が進むよう、取り組んでまいります。
また、認知症サポーター養成講座を今年度中に県内10箇所で開催し、自治会役員への働きかけや経営者団体等との連携を通じて、サポーター養成講座への男性参加者の積極的な掘り起こしを行うこととしております。
こうした取組みを通じて、引き続き市町村や関係団体とも協力しながら、2万人の認知症サポーターの養成を行う中で、男性の介護者に対する認知症の正しい理解の普及と認知症サポーターの拡充に努めてまいります。

(2) 認知症医療連携パスの活用と認知症疾患医療センターの今後のあり方について

県では、認知症医療連携パスの導入に向け、本年度中に調査研究事業を行うとしている。連携パスは、認知症の診療を行う医療機関と他の専門医療機関との相互連携や、介護サービス事業所等との情報の共有化を目的として活用すると聞いている。また、県では、認知症の医療と介護の連携拠点となる認知症疾患医療センターを東海大学医学部附属病院に設置しているが、県内1箇所では、十分な機能を発揮できないことから、認知症疾患医療センターの複数設置を提言してきた。
そうした中、本年度中に県所管区域内において、1箇所増設するとともに、政令市に対しても設置を促し、いずれの政令市においても設置に向けて検討を進めているとのことである。認知症の早期発見と適切なケアを目指すためには、患者の身近な地域で相談したり、受診することができる体制づくりを行うことが必要であると考える。
そこで、県が導入を検討している認知症医療連携パスの活用と認知症疾患医療センターの今後のあり方についてどのように考えているのか、所見を伺いたい。

黒岩知事答弁

最後に、認知症医療連携パスの活用と認知症疾患医療センターの今後のあり方についてお尋ねがありました。
認知症患者が増加する中で、認知症の人や家族を支援するためには、身近な地域において、早期の診断と適切な治療やケアにつなげていくことが何よりも、重要でございます。
そのためには、地域のかかりつけ医や専門医療機関と介護サービス事業所が相互に情報の共有化を図れる認知症医療連携パスが有効であると考えております。
そこで、県では、今年度、医療関係団体や有識者などからご意見をいただきながら、県独自の認知症医療連携パスの暫定版を作成いたしました。
今後、この認知症医療連携パスの暫定版について、認知症の診療をする30箇所程度の医療機関が介護サービス事業所と連携して、モデル的に具体的な活用方法などの検証を行い、その結果を踏まえ、パスを全県域へ拡大してまいります。
次に、認知症疾患医療センターについては、現在、認知症に係る専門医療の提供や、介護との連携の中核機関としての役割を担っております。
さらに、超高齢社会が到来する中で、今後、認知症疾患医療センターには、専門医療機関として新たに認知症医療に関する研究や情報提供、人材育成などの役割を担っていただく必要があります。
また、認知症疾患医療センターは、現在、県内に1箇所でありますが、認知症患者の大幅な増加が見込まれておりますので、今後は、二次医療圏ごとの設置を目指してまいりたいと考えております。
そこで、来年1月に県所管域で1箇所増設するほか、政令市においても、県の働きかけにより、設置に向けて検討が進められているところであります。
県といたしましては、今後とも、認知症医療連携パスの活用と、認知症疾患医療センターの設置を進め、認知症医療体制の充実に向けて取り組んでまいります。
私からの答弁は、以上です。

再質問

認知症医療連携パスにつきまして先ほど、認知症の医療と介護の地域連携に大変有効なツールということで御答弁いただいたわけですけれども、30箇所の医療機関をはじめ、これから展開していくというお話で、さらなる普及、やはり現場であります医療機関と在宅介護、そして施設介護関係者の方々の理解も必要でしょうし、そのような方々とどのように展開を図っていくのかと考えますと、もう少し具体的なお考えがあれば、お聞きしておきたいと考えるところでございます。

黒岩知事再答弁

ご質問は認知症医療連携パスを地域に普及していくために、もっともっと具体的に何かないのかということでございました。
認知症医療連携パスの導入に当たっては、この認知症診療の拠点となります医療機関、これが連携する他の医療機関や介護関係者に対し、それぞれ役割や情報共有化の意義を十分に説明し、理解を得ること、これが普及の鍵となります。
そこで、県としては、認知症医療連携パスの利用をモデル的に行う、この30箇所程度の医療拠点に、認知症医療に係る地域の拠点となっていただくよう、医療関係団体や市町村などと連携、協力しながら働きかけていくということ、これに尽きると思っております。

要望

認知症医療連携パスの導入に当たりましては、かかりつけ医の方と介護保険事業者等との連携を図っていくことが十分必要と思いますけれども、やはり二次医療圏で偏りなく、全県に迅速に普及していくことを強く要望しておきます。