公明党神奈川県議団

ホーム所属議員 重点政策 活動リポート ニュース 本会議 常任委員会 特別委員会 ご意見・ご要望

自然災害対策について

佐々木 正行議員 (相模原市)

質問要旨

(1) 特定都市河川の指定について

近年、全国的に毎年のように水害等の自然災害が発生している。
本県でも、平成20年8月末豪雨では、境川上流で、総雨量が約300ミリとなり、相模原市等で境川が溢れ、浸水被害が発生した。
本年6月の台風4号でも、足柄観測所で、総雨量が約360ミリとなり、酒匂川等において護岸崩落等の災害が発生した。
このように、局所的、突発的に短時間で多量の雨が降る、いわゆるゲリラ豪雨が頻発していることや、台風による大雨により、特に都市部の河川においては、大きな被害が発生してしまうことが懸念されている。
特に都市化が進展した境川や引地川流域においては、浸水による都市機能の麻痺や地下街の浸水被害を防ぐため、「特定都市河川浸水被害対策法」に基づき、河川管理者、下水道管理者及び地方公共団体が協働して、雨水を貯留や浸透させる施設の整備、雨水の流出の抑制のための規制等によって、流域の水害対策を推進することが大変重要である。

そこで、県として、「特定都市河川浸水被害対策法」に基づく指定に向け、どのように取り組むのか伺う。

(2) 深層崩壊について

深層崩壊とは山崩れ・崖崩れなどの斜面崩壊のうち、比較的規模の小さな「表層崩壊」よりも深部で発生し、表土層だけでなく深層の地盤までもが崩壊土塊となる比較的規模の大きな崩壊現象である。
国は、平成22年に深層崩壊に関して、発生頻度を推定した「深層崩壊推定頻度マップ」を作成し、頻度を4区分に分類した。
この「深層崩壊推定頻度マップ」によれば、本県においては、推定頻度は低いが、いつ、深層崩壊が発生し、県民に被害を与えるかわからない状況であり、日頃から警戒しておくべきである。
深層崩壊は、新しい災害の概念であり、調査方法やその対策など、まだまだ確立していないが、新しい調査技術も生まれている。

そこで、国土交通省がこの9月10日に発表した「深層崩壊に関する渓流(小流域)レベルの調査について」を受けて、県民の安全性を確実なものにするため、県として、国と協働してどう取り組んでいくのか、所見を伺う。

黒岩知事答弁

次に、自然災害対策について2点お尋ねがありました。
まず、特定都市河川の指定についてです。
特定都市河川の指定にあたりましては、まず、

  • 市街化率が概ね5割以上の地域を流れる河川であること
  • 流域において著しい浸水被害が発生し、又はそのおそれがあること
  • 河川の整備による浸水被害の防止が市街化の進展により困難なこと

この3つの要件に該当することが前提となります。
特定都市河川の指定により、雨水貯留浸透施設の整備によるハード対策や、開発による雨水の流出を抑制する規制などのソフト対策を行うことで、浸水被害対策の総合的な推進を図ることができます。
県内の対象河川としましては、鶴見川、境川、引地川の3水系の河川であります。このうち、鶴見川については、平成17年4月に、全国に先駆けて、国が特定都市河川に指定し、浸水被害対策を進めているところであります。
境川及び引地川については、神奈川県、東京都及び流域の横浜市や藤沢市などの関係機関で構成される各河川の「流域総合治水対策協議会」において、平成19年度から指定に向け、流域の自治体が一体となって浸水被害対策の協議を行ってまいりました。
具体的には、流域内の学校や公園などの公共施設において雨水を貯留する量や、民間の開発に伴い設置した雨水調整池を保全する対策などについて、協議を進めてまいりました。
そうした中、平成22年10月の協議会において、基本的な了解を得ることができました。
現在、東京都や流域市と最終段階の調整を図っているところであり、今後、県といたしましては、平成24年度内の指定を目指してまいります。

次に、深層崩壊についてです。
昨年9月の台風12号の災害では、紀伊半島を中心に総雨量が多い所で1,800ミリメートルを超え、数多くの深層崩壊が発生し、奈良県・和歌山県では、17箇所で崩壊土砂が川をせき止めたほか、集落が孤立するなど、甚大な被害となりました。
私も、「深層崩壊」と言われる、このような大規模な斜面崩壊が県内で発生した場合の被害の大きさを懸念しているところであります。
国は、深層崩壊の発生頻度を推定し、全国の「深層崩壊推定頻度マップ」を平成22年8月に公表し、このうち、発生頻度が「特に高い」地域を対象に渓流ごとに航空写真を用いて、斜面の危険度の評価をさらに進め、本年9月にその結果を公表いたしました。
国の公表マップによれば、本県では、発生頻度が「特に高い」地域が県土面積の0.数%、また、「高い」地域が約3%あるとされており、本県でも深層崩壊に対して備えをしておく必要があると認識しております。
現段階では、国が全国の発生頻度が「特に高い」地域から調査を進めている状況であり、深層崩壊の現象や対策については、まだ学術的にも研究の途上で、未解明な部分も多いことから、今後、国等により、さらに研究が進められると承知しております。
県といたしましては、引き続き、国の調査内容や対策手法について、情報収集に努めてまいります。
また、今後、国が砂防ダムの効果の検証や補強手法の検討、避難対策の検討を進めるにあたって、県民の安全を守る立場から、県も国と協働して、取り組んでいきます。
この避難対策の検討については、市町村とも連携してまいります。