公明党神奈川県議団
県立病院におけるデータ活用について
佐々木 正行議員(相模原市中央区)
佐々木議員質問
私はこれまで、がんセンターの地域がん登録のデータをはじめ、県立病院の膨大なデータの重要性や利活用について、様々な指摘や提言をしてきた。
データの活用にあたっては、将来的な病院のあり方検討につながる分析を行うことや、現場の医師が関連する分野の知見を活用しつつ、より効果的・効率的に臨床研究に取り組めるようにすることが必要であることから、データの総合的な活用や臨床研究を推進する体制を、県立病院機構全体として整備する必要があると考える。県立病院機構の各病院が保有する診療や研究等のデータを整理・分析する組織を設けることで、戦略的なデータ活用も可能になるのではないか。
そこで、県立病院機構では、データ分析や臨床研究を支援する専門の組織づくりも含め、データの有効活用をどのように進めていくのか、所見を伺いたい。
知事答弁
医療の高度化や患者ニーズの多様化に伴い、患者一人ひとりに適切な医療を提供するには、病院が保有する医療データを効率的・効果的に活用することが重要です。
県立病院機構では、診療データを基に、新たな診断や治療法の開発に向けた臨床研究を実施しています。
例えば、循環器呼吸器病センターでは、急性心筋梗塞の詳細な実態をデータベース化することで、治療に役立てる研究を進めています。
また、こども医療センターやがんセンターでも、保有する膨大なデータの解析にあたり、横浜市立大学のデータサイエンスの専門家から、統計学的な助言を受けながら、最先端の臨床研究を進めています。
さらに、病院機構では、こうした診療データや各種統計指標を病院の経営改善や機能の充実に活用するため、機構本部と各病院の職員からなる経営分析チームを設置し、多角的に分析を行っています。
こうした中、病院機構では、社会環境の変化に応じた病院の経営や、最先端医療につながる臨床研究の推進が、喫緊の課題となっており、そのためにも、診療データの活用をさらに進める必要があります。
そこで、病院機構は、こうした取組みを強化するため、今年4月に、本部事務局内に、病院の経営戦略の立案や、臨床研究の支援を行う組織を新設し、各病院の臨床研究部門と連携して、匿名化した診療データを臨床研究へ活用する取組みなどを進めることとしています。
県としても、病院機構がデータを有効活用し、将来を見据えた戦略のもとに、県民の医療水準の向上につながる研究を進められるよう、しっかりと支援してまいります。
再質問
県立病院の事務局内に、病院の将来のあり方をしっかりと見据えて、あるいはデータ分析と臨床研究を支援する専門組織を、新たに設置する、というご答弁だったと思います。
県立病院で保有するデータを有効活用するためには、これまで、がんセンターで行ってきたデータサイエンティストの皆さんの協力を得て分析を行っているように、データ解析の専門家の協力が不可欠であると考えるが、県立病院において新たに設置する組織に、データを解析する人材を確保しながら進めていくのか、知事の所見を伺いたい。
再質問に対する答弁
これからの臨床研究をより効率的に推進するためには、膨大で複雑な診療データを扱う、統計解析の専門家の活用が欠かせないものと思います。
病院機構では、横浜市立大学から統計の専門家を招き、その助言を受けながら、各病院におけるデータの解析を進める予定です。
県としましても、こうした費用を負担金として予算案に計上するなど、病院機構が取り組む臨床研究をしっかりと支援してまいりたいと考えています。