公明党神奈川県議団
高等学校奨学金制度について
渡辺 ひとし議員(藤沢市)
渡辺議員質問
高等学校奨学金は、社会情勢や時代に即応した、常に利用しやすい制度となるように取り組むことが必要である。
例えば、貸付要件である年収800万円未満とされている所得要件を緩和することや、加算制度について、現在設定されていない低所得を理由とした加算要件についても検討が必要ではないかと考えるところである。
また、成年年齢を20歳から18歳に引き下げること等を内容とする民法の一部を改正する法律が成立し、令和4年4月1日から施行されることとされており、この改正を踏まえた検討も必要と考える。
そこで、高等学校奨学金制度については、生徒の皆さんがより利用しやすいように、経済環境、生活環境が変化していく中で、常により時代に即した制度となるよう見直す必要があると考えるが、今後の奨学金の在り方について、どのように考えているのか、所見を伺いたい。
教育長答弁
教育関係について、お答えします。
高等学校奨学金制度についてです。
高等学校奨学金は、経済的な課題を抱えながらも、学ぶ意欲のある高校生等に対し、貸付けにより就学への支援を行い、教育の機会を保障するという重要な役割を果たしています。
この奨学金制度は、これまでも、平成28年度には、貸付金額を細分化したり、返還金の免除制度を変更するなど、社会経済状況の変化に応じて見直しを行ってきました。
これらにより、給付型の奨学金が充実してきている中にあっても、現行制度のもとで、毎年2,000人以上の高校生等に貸付けを行っています。
こうした中、令和4年4月1日からは、民法改正に伴い、成年年齢が18歳に引き下げられる予定です。
また、コロナ禍の収束が見通せない中、経済状況の変化に伴い、現時点でも家計急変による奨学金の申請が、前年度より20件程度増加しています。
奨学金は、こうした社会制度や経済状況の変化に関わらず、高校生等が安心して借りることができ、着実に完済できるものであることが重要です。
県教育委員会では、このような奨学金の在り方を踏まえ、その制度が現状において、有効なものとなっているか、利用しやすいものとなっているかなどをしっかりと検証し、必要に応じて、見直して行くべきと考えております。
そこで、今年度中を目途に、現行の奨学金制度について、成年年齢の引き下げも見据えながら、保護者の皆様や生徒等からご意見を伺うなどして、その有効性や課題について検証してまいります。
再質問
1点、教育長に再質問をさせていただきます。
再質問は、高等学校奨学金制度についてであります。
検証の結果、今年度ということですが、制度改正を行う場合には、来年度には制度改正を検討していく必要があると思いますが、成年年齢の引き下げが令和4年実施であることを踏まえた上で、また、奨学金制度の周知は、通常前年度の秋頃には行われますので、その点を踏まえると、令和3年度秋までには制度改正が必要と考えますが、どのようなスケジュール感で検討を行うのか伺いたいと思います。
再質問答弁要旨
渡辺議員の再質問にお答えします。
検証の結果によりますが、奨学金制度を見直すとした場合は、中学3年生の進路選択にも少なからず影響を与えますので、十分な周知期間が必要と考えております。
こうしたことも、スケジュール感として念頭におきながら、今年度検証してまいります。
要望
高等学校奨学金制度については、その原資が貸付けの返済金からなっており、県財政が厳しい中でも、一般財源の負担を抑えつつ、工夫、改善ができると思います。
経済環境や、生活環境が変化している中で所得要件の緩和や、低所得世帯に対する貸付金額の加算要件等の制度改正は非常に重要です。
不断の見直しをしっかり検討することを、強く要望させていただきます。