公明党神奈川県議団
高等学校奨学金制度について
渡辺 ひとし議員(藤沢市)
渡辺議員質問
高等学校等就学支援金、私立高等学校の学費補助金及び高校生等奨学給付金などの給付型の就学支援制度が充実してきたことは承知しているが、保護者の教育費負担は、いまだ大きいものとなっている。
コロナ禍もあり、教育の機会均等を確保するため、貸付型の奨学金の果たす役割は重要だと考える。また、高等学校奨学金の貸付月額の設定も上限額の見直しが必要だと考える。
令和2年第3回定例会において、高等学校奨学金の制度見直しの必要性などについて質問した際に、教育長から現行制度の有効性や課題について検証するという答弁があった。
我が会派としては、アンケートの実施結果も踏まえ、よりよい高等学校奨学金制度となることを期待している。
そこで、高等学校奨学金について、現行制度の検証結果とそれを受けた今後の方向性について、所見を伺いたい。
教育長答弁
県教育委員会では、昨年度、奨学金を利用している生徒の保護者及び利用希望者へのアンケートを行い、1,200名を超える方からの回答結果をもとに、現行の制度について、利用しやすく、また有効なものとなっているか、という点から、検証しました。
主な検証結果ですが、現在約800万円未満としている所得要件については、アンケートでは約4分の1の方が、その緩和を望んでおり、実際のところ、毎年、10名程度の高校生が、保護者の所得超過を理由として不採用となっています。
また、現在、国公立高校で最大2万円、私立高校で最大4万円となっている貸付月額については、同じくアンケートでは約3分の1の方から増額を望む声がありました。
この貸付月額を年額ベースでみると国公立で24万円、私立で48万円となりますが、国の「子供の学習費調査」による保護者負担は年間、公立で約46万円、私立約97万円となっており、依然としてその負担は大きなものとなっています。
県教育委員会では、現在のコロナ禍のような経済環境の変化に左右されず、意欲のある高校生が、希望する教育を受けられることが大切と考えています。
こうした観点から、学資の援助を必要とする高校生が、広く利用できる奨学金制度となるよう、検証結果も踏まえて、所得要件の緩和などについて、引き続き検討を進めてまいります。
また、民法改正により、令和4年度に成年年齢が引き下げられることから、例えば18歳の生徒が奨学金を申込む際に、保護者の同意が不要となる、ことなどへの対応を図る必要があります。
そこで、奨学金制度については、本年9月を目途に、こうした対応も含め、制度の方向をとりまとめたいと考えております。