公明党神奈川県議団

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平成21年9月定例会にて代表質問を行いました。

行田 ともひと 議員(横浜市港北区)

行財政改革について

1. 行政改革について

懸命に行革を進めている本県ですが、歳出規模はほとんど変わっておりません。その大きな要因は、介護・措置・医療関係費が伸びているからです。介護・措置・医療関係費は、少子高齢化の進展に伴い、今後も増加することが見込まれます。赤字債がいいとは思いませんが、国は財源が足りないとなれば、赤字国債を発行することができます。しかし、地方は自由に赤字債を発行する権限はありません。税収の増が見込めない昨今の経済情勢の中では、スクラップもなしに新規施策を行うことなど到底できませんし、さらに、身を切る覚悟で行革を進めなければ立ち行かないことは明らかです。
「地域の目からみた、徹底的なムダの削減」を全国に先駆けて行っていると前向きにとらえ、近い将来の道州制を視野に入れながら、徹底した行政改革を進めていただきたいと考えております。

そこで知事にお伺いします。

本県は、これまでも、全国でトップクラスの行政改革の取組みを進めてきたと感じております。しかし、これからの介護・措置・医療関係費の伸びなどを考えると、行政改革の手綱を緩めることも許されません。これから新たな行政システム改革基本方針を策定されるものと承知しておりますが、今まで、相当の行政改革に取り組んできた本県において、また、知事が提案説明の中で述べられた「未知の領域で進行している、極めて深刻な財政危機」下において、今まで以上の行政改革を、どのような視点と手法で進められるおつもりか、知事の所見を伺います。

2. 仕事の進め方と人事評価について

「仕事を減らす」というのは人事評価にもかかわる問題であります。いくら時間外勤務縮減を唱えても、「あの仕事を新しく立ち上げた」ということが評価されるのでは、「仕事の量」は減りません。新しい仕事を始めるより、いままでやっていた仕事をやめるほうが何十倍も大変です。新しい仕事には「やってほしい」という応援団がいますが、いままでやっていた仕事には関係者がいて、「やめないでほしい」といわれるのが普通であるからです。ここから考えても「仕事を廃止した」人こそが評価されるべきであると考えます。そして、仕事を廃止した人が評価されたことがわかるように、結果の総括をきちんと行っていくべきです。

そこで知事にお伺いします。

残業時間を減らすためには、1990年代に成功した民間企業が行ったように、「コスト意識を持ち、仕事を廃止した人を評価する」といったことが求められるのではないかと考えます。精神論では限界がきます。「時間外勤務縮減」を後押しするため、特に仕事をマネジメントする能力を問われる管理職においては、人事評価で「仕事を廃止した人を評価する」ことを、より重視すべきではないかと考えますが、知事の所見を伺います。

行革の一手法として上げられる民間活力の活用、PFI手法によるがんセンターの整備について

民間の資金調達金利より県の調達金利のほうがはるかに低く、同じ建物を作るのであれば県が起債したほうが明らかに安上がりです。がんセンターにおける、直接事業を実施した場合と、PFIで実施した場合のコストの比較、バリュー・フォー・マネーの算出でも、県債を50%充当した方が安上がりという結果が出ているのは、まさしく県が直接資金調達したほうが安上がりという証左に他なりません。イギリスで、PFIを導入した結果、刑務所を十字型にし、看守を減らすことによって運営費を安くできたという話も聞きますが、そのような創意工夫を期待するのなら、プロポーザルを実施すればいいのです。公共工事で行う仕様発注が高いというのであれば、性能発注を導入すればいいのではないでしょうか。運営についても、民間に任せられるところは民間に委託するということで十分でしょう。ところがPFIでは、それぞれに、SPCという第三者を介在させ、手数料を取られる。もともとの調達金利も民間の高い金利で建設するのです。事業実施のために介在する民間企業が多ければ多いほど、それぞれが取り分をとるのですから、公共が直接同じものをつくり、民間委託を活用しながら同じサービスを行うより高くつくのは当たり前です。関係者が少なく、仕組みが単純であるほどコストは安くつくのが当然ではないでしょうか。

そこで病院事業庁長にお伺いします。

がんセンターの整備・運営をPFI手法で行うに当たり、県が直接、事業を実施するよりもPFIで実施したほうが安い、すなわちバリュー・フォー・マネーに優れているという結果はどのようにして算出されたのか、病院事業庁長に伺います。
また、先行事例で失敗が相次ぐ病院事業であえてPFI手法を選択されるに当たり、先行事例の失敗を繰り返さないために、どのような方策を講じられているのか、あわせて伺います。

介護保険制度について

1.介護保険制度について

介護サービス情報の公表は、項目数が膨大で、一覧性に欠けるため、インターネットの画面上で見たとしても、どこを参考にしてサービスを選択したらよいのかわかりません。問題点を解決するためにも、項目を、例えば特別養護老人ホーム、いわゆる特養では、「職員の離職率」「年間、月間、週間のプログラムや行事」「食事の献立表実例」「利用時にかかる費用の例」「待機者数」など、「サービス選択」に資するものに絞るよう国に働きかけるほか、地方が独自の運用で取り組みうることとして、サービスを選択する場合に着目すべき項目を集めた画面を編集する、全国に先駆けて県独自のデータベースを作成するなど、県民にとって使いやすいものに変えていく工夫がぜひ必要ではないかと考えます。国のデータはもともとあるのですから、これらを実行するために、さほど費用はかからないはずです。
介護の基本理念の実現に向けて、介護の市民性を高めるために創設された情報公表制度ですが、県民の皆さんが知らない、使わない、事業者の負担が大きいということでは、本来の目的はまったく果たされません。

そこで知事にお伺いします。

情報公表制度は、インターネットを活用して、いつでも、誰でも、どこにいても介護サービスの情報を入手できるというメリットがある一方で、項目数が膨大であり、どこを参考にサービスを選択したらよいのかわかりにくいのが現状です。そこで、項目をサービス選択に資するものに絞るよう国に働きかけるとともに、サービスを選択する場合に着目すべき項目を集めた画面を編集するなど、県民にとって使いやすいものに変えていく工夫が必要と考えますが、これらの点について、知事のご所見をお伺いします。

2.介護サービスに関する啓発について

現代の若者たちにとっては、インターネットを用いて介護サービス情報公表制度を活用することなど何の苦にもならないでしょう。ぜひ、身近な高齢者のために、有用な情報を入手してほしいと思います
しかし、そのためには介護サービスや介護サービスの情報公開制度がどのようなものなのかを知る必要があります。介護保険制度は日本の社会基盤を支える、負担も少なくない制度です。いずれは親の世代、そして自分自身も介護サービスを利用することになるのですから、今のうちからサービスや制度を、基礎知識としてある程度身につけておくことは、将来、公共サービスを支え、そして享受する上で大変有益なことではないかと考えます。
また、若年層に介護保険制度の普及啓発を行うことで、介護サービス情報公表制度の利用が広まり、その家族にとって適切なサービスが選択されるようになれば、選ばれる側、すなわち事業者側のサービスの質の向上につながります。社会全体が、よりよい介護サービスを受けられるようになる、という大きなメリットが生まれるのです。
高校のカリキュラムに介護関連教育を入れることは時間的に難しいかもしれませんが、資料を配ることだけでも効果はあると考えます。

そこで知事にお伺いします。

本県では、高齢社会の進展が、全国でもトップクラスのスピードで進んでいます。若いうちから介護サービスについての知識を持ち、どのように介護サービスを選択したらよいか、という手段を知ることで、適正なサービスを受けられるようになり、自身や家族を守ることができるようになります。そして、サービスの選択がされることにより、全体のサービスの質の向上、公平なサービスの提供にもつながっていくものと考えています。ぜひ、高校生など若年層に対して、介護サービスに関する啓発に取り組んでいただきたいと考えますが、この点につきまして、知事の所見を伺います。

警察力の強化について

1. 警察が担うべき業務の範囲について

地域の治安力を維持・向上させていくためにも、警察力を凶悪犯罪の捜査などに集中させられるように、警察に任せる分野は警察、それ以外の分野はそれぞれの主体でと、役割分担を明確にすることが重要であります。しかし、現状では、本来であれば、行政が対応すべき分野や、県民が自分たちで解決すべきことまで、警察が背負わされているのではないか、という感じがいたします。
具体的には、「動物の保護」や「路上放置物の撤去」、「騒音苦情」「警察とは本来関係のない内容の窓口相談」などが挙げられます。これらは本来、県や市町村など、「行政が扱う分野」であったり、県民が自分自身で解決すべき問題であったりと、「治安を守る分野」を担う警察にかかわらせるのは、警察力の低下、ひいては治安の悪化を招きかねない、非常に由々しき問題ではないかと考えられます。

そこで警察本部長にお伺いいたします。

県民がより安心して暮らせる社会にするためには、警察は本来の業務である「憎き犯罪を検挙する、犯罪者を社会から排除すること」に専念すべきではないか」と考えておりますが、こうした警察の本来業務を実際に阻害していると思われる要因をどのようにとらえているのか。また、その要因を踏まえて今後どのように警察業務を推進していくのか、警察本部長の所見を聞かせいただきたい。

2. 警察のマンパワー確保について

警察が本来業務に専従できるようにするために、行政もやれることはやるべきだと思います。人員削減の折り、行政が夜間にも万全の体制を敷くということは無理でしょう。ただ、窓口はここだ、という広報は可能であるはずです。保健所では、24時間連絡体制を敷いているという話を聞いたことがあります。飲食店における夜間騒音についても、「神奈川県生活環境の保全等に関する条例」により、騒音の防止について、知事が措置を行えることになっております。警察の本来業務を阻害している相談等について、本来の行政機関が「窓口はここです」、という広報を十分に行うべきです。そして、警察活動を本来業務に純化できるように、権限と責任ある行政機関がしっかりとその責務を果たすべきであり、そうすることが県民の安全・安心につながることになるのです。このことを知事に強くご提言申し上げておきたいと思います。
しかし、実際には、行政がバックアップしたとしても、警察への通報や相談が思ったようには減らないことも事実です。「いざというとき頼りになるのは警察だ」「警察であれば、相手もいうことを聞くのではないか」という感覚が県民の中にはあると感じられるからであります。行政がバックアップをするのはもちろんのこととして、それでも警察に寄せられる、所管外の相談により、警察業務が阻害されないような、何らかの仕組みが必要であると考えます。

そこで警察本部長にお伺いいたします。

犯罪が増加し、より高度化した現況下にあって、警察の所管外の相談などにより、本来の警察活動が阻害されないよう、警察力を確保するための施策が必要であると考えます。具体的には電話対応業務を集約したり、再任用職員の活用を図るなど、警察のマンパワーの強化が考えられるのではないかと思います。そこで、警察力を確保するための施策についてどのように考えられているのか、警察本部長の所見を伺います。