公明党神奈川県議団

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ひきこもり対策について

佐々木 正行 議員(相模原市)

ひきこもり地域支援センターの設置と今後の取組について

内閣府の調査によると、15~39歳の若者のうち自宅に閉じこもりほとんど外出しない人は 69万6,000人に達し、将来ひきこもりになる恐れがある「ひきこもり親和群」は 155万人と推計されている。

ひきこもりが長期化し、自立した生活ができない状態が続くと、将来、生活保護となることも想定され、早期のひきこもり対策は、莫大な生活保護費を抑制することにもつながる。

国でも様々な取組に着手し、内閣府では地方公共団体や学校などに対し、子ども・若者への総合的な支援を実施するための具体的な取組方法を提案している。また、厚生労働省においても各都道府県等にひきこもりを対象とした相談窓口の機能を有するひきこもり地域支援センターの整備を呼び掛けており、本県も設置を進めていると聞いている。

そこで、ひきこもり問題の解決には関係機関との連携が重要であ ると考えるが、ひきこもり地域支援センターの設置にあたり、ひきこもり問題にどのように取り組んでいくのか所見を伺いたい。

松沢知事答弁

ひきこもり対策についてのお尋ねをいただきました。

全国で数十万とも百万とも言われている、ひきこもり青少年の問題は、その数の多さに加え、現場で支援に携わっている方々からは、長期化や高年齢化が進んでいることが指摘されており、社会全体の問題として、ますます深刻な状況にあるものと受け止めています。

本県では、青少年問題協議会において、ひきこもりに関する調査や、効果的な対策についての審議を行い、その結果を踏まえて、平成16年度に、青少年センターの別館として、青少年サポートプラザを設置いたしました。

この青少年サポートプラザでは、ひきこもりなど青少年の様々な悩みに対応する相談窓口を設けるとともに、この問題に取り組んでいる県内の先進的なNPOと協働して、人材育成や活動スペースの提供などの支援を行っております。

こうした中、この11月に青少年サポートプラザを、国が推進している「ひきこもり地域支援センター」として位置づけ、ひきこもりにかかる相談機能などの充実を図ることといたしました。

具体的には、県内各地域に赴き、市町村や教育、保健・福祉などの関係機関と連携して出前相談会を実施するほか、支援者と当事者の方々がこの問題について意見交換できる場を設けていきたいと考えています。

また、この問題に対する取組みを推進していくためには、市町村等に加え、地域で青少年の健全育成や子育て支援に取り組んでいる団体の方々に、ひきこもり問題についての理解を深めていただき、身近な地域における支援の輪を広げていくことが大変重要であります。

こうした観点から、この出前相談会や意見交換会を、様々な活動主体との協力のもとで実施し、各地域において積み重ねていくことにより、関係機関が連携・協力したひきこもり対策を推進してまいります。

各地域において積み重ねていくことにより、関係機関が連携・協力したひきこもり対策を推進してまいります。

NPO等と連携したアウトリーチの取組について

ひきこもり問題の対策は、訪問支援、いわゆるアウトリーチが有効と考えている。

ひきこもり問題の解決には、一人ひとりの個性や状態にあわせて、きめ細かく丁寧に支援していくことが大事である。

県内には、ひきこもり等への支援としてアウトリーチの取組を行っているNPOやボランティア団体が多数あるが、専門家の人数が少ないと聞いている。

また、ひきこもり問題は1年や2年で解決するものではなく、時間がかかるので、安定した運営が不可欠で、専門家の育成への支援も含めた県など行政の支援が必要である。

そこで、本県としてもひきこもり問題を解決する手段として有効と考えられるアウトリーチの実績とノウハウを持っているNPO等と連携して、アウトリーチを行うべきと考えるが、所見を伺いたい。

松沢知事再答弁

次に、アウトリーチ、すなわち訪問支援についてのお尋ねがありました。

アウトリーチは、家庭訪問を中心とした支援の方法でありますが、ひきこもりの当事者は相談等の場に出向くことが難しいケースも多いことから、有効な方法の一つと考えられます。

しかし、対象の数が多く体制整備の問題があること、訪問を実施するタイミングの見極めなどについて専門的な判断が必要であること、さらに、その後の支援も含め、相手に合わせた継続的なケアを行う必要があることなど、その実施には多くの課題があります。

一方、県内では、様々なNPOが、相談やフリースペースの運営、地域の理解を促進するための講演会などの事業を展開し、独自性を活かしたひきこもり問題に取り組んでおります。

こうした中、政令市においては、アウトリーチなどのノウハウを持ったNPOと連携した取組みが始まっていますので、県としては、県域全体で取組みが進むよう、その他の地域のNPOの方々にも力をつけていただき、この手法に取り組んでいただくことが重要であると考えています。

そこで、ひきこもり問題に取り組んでいるNPOや親の会にも参加を呼びかけ、アウトリーチ手法の有効性を紹介する機会を設けるとともに、人材育成の面から、青少年センターが行っているNPOスタッフ研修会において、アウトリーチ手法についての研修を実施していきたいと考えています。

ひきこもり対策は、短期間で成果があらわれるものではなく、息の長い取組みが必要なことから、身近な地域で効果的・継続的なひきこもり支援に取り組む団体が育っていくよう、今後とも、県として情報提供、人材育成など、様々な施策を進めてまいります。

不登校対策に係るNPO等との連携について

青年期のひきこもりの問題を考えるうえでは、小・中・高等学校の児童・生徒の不登校への適切な対応も不可欠である。

県内には多くのNPO等が不登校の子どもや保護者を支援する取組を展開しており、それらNPO等が持っている支援ノウハウには学ぶものも多く、不登校状態にある生徒一人ひとりの将来の社会的自立に向けた支援に活用するべきであると考える。

教育委員会ではフリースクール等との連携を推進しており、不登校を経験した生徒などによる座談会が好評と聞いている。

不登校で悩んでいる生徒や保護者の大きな励みになると思う。

そこで、(1)不登校の生徒に対する支援に関して、NPO等との相互理解を深めながら進めるべきであるが、これまで推進しててきた県内のフリースクールや地域のサポートステーション等との連携の今後の方向性について、どのように取り組んでいくのか伺いたい。また、(2)不登校を経験した生徒やその保護者の経験談を、不登校対策に広く活用していくべきと考えるが、併せて所見を伺いたい。

教育長答弁

教育関係について、お答えいたします。

はじめに、県内のフリースクール等と連携して取り組む不登校対策の、今後の方向性などについて、お尋ねがございました。

県教育委員会では、不登校の児童・生徒に多様な学習の機会と居場所を提供することを目的として、平成18年2月に、他県に先駆けてフリースクールをメンバーに加え「神奈川県学校・フリースクール等連携協議会」を設置し、新たな不登校対策に着手いたしました。

具体的には、教育委員会やフリースクール、就労を支援するNPO等が一堂に会する相談会を平成18年度から開始しており、会場では、各団体がブースを設けて、不登校生徒などに対して学び直しの機会や新たな居場所の情報を提供するなど、個別の相談に応じております。

こうした取組みにより、参加者からは「将来の展望が開けたような気持ちになった」といった声が寄せられておりますが、一層効果的な支援を行うためには、関係機関がお互いの支援についての理解を深め、情報を共有するなどして、横の繋がりを強めることが求められております。

そこで、今後は、こうした相談会で、不登校に悩む児童・生徒や保護者が、将来に向けた選択肢がいくつもあるということに気づいていただけるような情報提供を行えるよう、関係機関の相互理解に基づいた横の連携を強めてまいります。

次に、不登校を経験した生徒やその保護者による体験談を不登校対策に活用することでございますが、不登校を経験された方の話を直接伺うことは、現在不登校で悩んでいる方にとって、大変勇気付けられるものであり、貴重な機会であると考えております。

そこで、県教育委員会といたしましては、体験談をお話しいただいた方のご協力を得て、DVDや冊子にまとめ、不登校の児童・生徒や保護者にご覧いただくことで、新たな一歩を踏み出すきっかけとなるよう、今後の不登校対策の充実を図ってまいります。