公明党神奈川県議団

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エネルギー政策について

小野寺 慎一郎 議員(横浜市旭区)

(1) 在宅重度障害者等手当の見直し財源の活用について

在宅重度障害者等手当の大幅な見直しに議会は賛成したが、そこには、議論の過程で県当局が示した「平成22年度については手当の見直しで生まれた財源、約19億円のうち約16億円を障害者の地域生活支援施策に充てる」という言葉が大きく働いていたと考えている。
平成22年度の見直し財源の活用額は約10億円にとどまったが、知事は「モデル的な取組から着手するものやサービスの利用状況等を見定めた上で本格的な事業展開を図るものなど、初年度としては真に必要な事業を予算計上し、この規模となった。」旨の説明をしている。
そこで、在宅重度障害者等手当の見直し財源の活用について、知事は、手当の削減額に見合った地域生活支援施策を行うよう求める意見に対し「最大限努力することを約束する」旨の発言をされたと記憶している。2年目になっても、なぜ1年目とほぼ同額の施策事業しか展開できないのか、在宅重度障害者等手当を削減された方々が納得できる説明をすることが必要と考えるが、見解を伺いたい。

松沢知事答弁

はじめに、障害者の地域生活支援施策について何点かお尋ねをいただきました。
まず、在宅重度障害者等手当の見直しによる財源の活用についてであります。
平成23年度における「障害者地域生活支援推進プログラム大綱」に基づく事業の規模は、全体の予算額が約33億円で、このうち約10億円は、在宅重度障害者等手当を見直した財源を活用しております。
初年度の取組みの中で、住宅設備のバリアフリー化に対する補助のように、単価を引き上げたものの利用が進まなかった事業や、障害児の通学支援など、実施主体である市町村が事業実施の財源を確保できなかったことにより、平成23年度の予算を減額せざるを得なかったものもございます。
一方、23年度の重点的な取組みとして、新たに重度障害者の地域生活を支えるため、デイサービスの事業所や、ケアホームの施設整備に対する補助を実施いたします。
また、人材養成の面でも、医療的ケアが必要な重度の障害児者の介護に携わる、ホームヘルパーの研修事業の拡充を図ってまいります。
このように、減額した事業もある中で、新規・拡充事業もあり、総額では、平成22年度を約3億円上回る33億円の規模を確保し、障害者の地域生活の支援に取り組んでまいります。
これらの事業には、国庫補助を有効に活用できたことから、在宅重度障害者等手当を見直した財源の活用額としましては、結果的に、平成22年度と同様の規模となっております。
県といたしましては、今後も、「プログラム大綱」の取組みを通じ、必要な人に必要なサービスが行き届くよう、障害者福祉施策全体を推進してまいります。

(2) 重度障害者等の介護者のレスパイト支援について

県では、今年度から重度障害者等の介護者のレスパイト支援を充実させるため、短期入所事業の利用促進や重度障害児等への長時間訪問看護モデル事業の実施、更には障害児者の医療的ケア等に対応できる人材の養成に取り組んでおり、高く評価するところである。
県内の政令市では、川崎市に続き、相模原市が平成23年度から重症心身障害児者に対する独自の訪問看護事業を開始すると聞いており、この流れを制度として定着、拡大させるため、更なる施策の充実を願うものである。
そこで、県が平成22年度から始めた重度障害者等の介護者のレスパイト支援や障害児者の医療的ケアなどに対応できる人材の養成などの施策を、現在、どのように進めているのか、その具体的な内容を伺いたい。また、レスパイトケアの更なる定着と拡大に向けた来年度の取組について、併せて所見を伺いたい。

松沢知事答弁

重度障害者の介護者のレスパイト支援についてでございます。
在宅で暮らす重度障害者の介護にあたる家族が、一時的に介護から離れることによって、その負担を軽くするためのレスパイト支援は、障害者とその家族にとって、大変重要なものと認識しております。
重度障害者のレスパイト支援には、施設を利用した短期入所サービスや、自宅でホームヘルプや訪問看護を長時間利用できるなどの取組みが必要です。
そこで今年度は、短期入所事業所9か所において、バリアフリー化や医療機器の設置などの施設整備に対して支援し、重度障害者が利用できる短期入所の場の拡大を図りました。
また、医療的ケアが必要な在宅の重度障害者の方に、適切なサービスを提供するため、延べ600人のホームヘルパー等を対象とした医療的ケアの研修の実施や、重症心身障害児施設の看護師などを対象に、医療・福祉面での専門的な研修を、延べ400人に実施しています。
この結果、短期入所の利用者数は、昨年度と比較して、今年度は約15%増加いたしました。
平成23年度においても、障害者とその家族が、地域で安心して暮らせるよう、引き続き、短期入所事業所の整備を着実に実施するとともに、研修の内容を充実強化いたします。
また、昨年12月から重度障害児等への長時間訪問看護モデル事業を始めたところであり、来年度も引き続き実施し、長時間訪問看護によるレスパイトの効果を検証してまいります。
併せて、重度障害児のいる家庭を訪問ができる看護人材を育成し、在宅で療養する障害児と家族の生活の質の向上につなげてまいります。
今後とも、障害者地域生活支援推進プログラム大綱に位置づけた事業に取り組み、レスパイト支援のさらなる定着と拡大に、努めてまいります。

(3) 障害者地域生活推進事業費補助について

昨年、県が新設した障害者地域生活推進事業費補助については、高く評価したところであるが、その予算額が5千万円弱に過ぎないことから、障害児の通学支援の需要が膨らんだ場合、それに応えきれるのかといった疑問を呈したが、平成23年度の予算額は125万円である。知事は「障害児の通学支援は多くの市町村で事業を実施していただけるものと考えている。」と言われたが、平成22年度は市町村の手がほとんど挙がらなかったと聞いている。
そこで、この補助の対象となる障害児の通学支援や、意思疎通が困難な全身性障害者等の入院時のコミュニケーション支援は、いずれも切実かつニーズのある事業であるが、なぜ市町村からそっぽを向かれてしまったのか、見解を伺いたい。また、県として真に必要な事業と考えているのであれば、平成23年度は制度を改めてでも市町村の事業実施を促進すべきであると考えるが、なぜそうしなかったのか、併せて理由を伺いたい。

松沢知事答弁

「障害者地域生活推進事業費補助」についての、お尋ねをいただきました。
障害児の通学支援と、全身性障害者のコミュニケーション支援につきましては、障害者自立支援法に基づき、市町村の地域生活支援事業として、すでに国庫補助の対象となっております。
現在、通学支援は3市で、コミュニケーション支援は2市で、実施されておりますが、新たに導入する年は、国庫補助の対象とならないため、多くの市町村において取組みが進んでおりません。
そこで、プログラム大綱に位置づけ、初年度の事業費を県単独で補助する制度を導入いたしました。
県では、機会あるごとに、市町村の、事業の実施を働きかけるとともに、実施の可能性のある市町村に、個別の働きかけを重ねてまいりました。
市町村からは、通学支援は通年での利用が見込まれるため、事業費の増大が懸念されることや、同じ通学時間帯に利用が集中するため担い手が不足すること、義務的経費が増大する中で新たな事業には取り組みがたいこと、などから事業化することが難しいとの意見をいただいております。
また、コミュニケーション支援については、対象者が少ないことや、対象者が把握されていないことから、事業化に至っていないとのことです。
こうしたことが、取組みが進まない主な理由と考えています。
これらの事業は、事業実施の2年目から、国庫補助の対象となり、国1/2、県と市町村それぞれ1/4づつ負担するというスキームで実施されています。
平成23年度には、新たに県の補助事業の活用を予定している市町村もありますので、その実施状況も踏まえ、事業の取り組みを進めてまいります。
今後、市町村が利用しやすい仕組みとなるよう、市町村や関係者の意見も伺いながら、検討をしてまいります。

再質問

在宅重度障害者等手当の見直し財源の活用についてでありますが、2年間の経過措置が設けられました。これは当然、手当の給付を受けている障害者に対しての激変緩和策であると同時に、われわれとしては県当局に対して、施策を進めるための時間的な猶予を差し上げたと思っています。
そのなかで、初年度のみならず、2年目になっても、見直し財源が充分に活用されないということは、いわゆる現金給付から現物給付への移行が、最初に県が考えたほど、うまく進んでいっていないのではないか、というような思いがあります。
先ほど知事は、その理由について、いくつかおっしゃっていました。単価を上げてみたけれども利用が進まないものがある、あるいは、市町村が事業実施に踏み切れないものもある、また、国庫補助を有効に活用したから見直し財源をあまり使わずにすんだようなニュアンスの言葉もありましたけれども、もしそういうことであれば、充分に活用しきれないのであれば、例えば、これから重度障害が重複した人だけにこの手当が支給されるわけですけれども、実際には、重複はしていなくても1級の障害者は本当に大変な生活を余儀なくされているわけであります。ですから、このお金が充分に活用されないのであれば、例えば条例を再改正して、一部元に戻すということも必要になってくるのではないか、というふうに私は思います。
今は経過措置期間ですから、見直し財源も19億とか20億とかいったレベルですけれども、これが24年度以降はざっとその2倍の40億程度の財源になるわけです。本当にこのままだと先が思いやられるという気持ちであります。
今後、この見直し財源の活用が思ったように進まない、これは市町村がのってくれないということも含めてです。思うように進まないということであれば、そのときには、元に戻す、そういう決断をすることもあろうかと思うのですが、知事のお考えをお聞かせいただきたいと思います。

松沢知事再答弁

「プログラム大綱」に基づく取組みについて、再度ご質問をいただきました。
23年度のこの「プログラム大綱」に基づく事業の規模は、全体の予算が約33億円で、このうち、約10億円は、在宅重度障害者等手当を見直した財源を活用しております。先ほど申し上げたとおりでございます。
23年度については、重度障害者の地域生活を支えるために、デイサービスの事業所ですとか、あるいはケアホームの施設整備に対する補助を、新たに実施してまいります。
一方、平成22年度に実施した事業のうち、住宅設備のバリアフリー化への補助が進まなかったこと、あるいは障害児の通学支援など、実施主体である市町村において取組みができなかったことから、減額をせざるを得なかったものもございます。
23年度は、このように市町村との調整や、サービスの利用状況などを踏まえて、事業を積み上げたものでありまして、必要な予算を計上したものと、認識しています。
また、障害児の通学支援など、ここで、市町村が取り組み始めるものもありますので、今後、市町村や関係者の意見も伺いながら、こうした事業がより多くの市町村に広がっていくよう、働きかけてまいります。
まずは、こうした努力を最大限に行なって、きちんと使っていただけるように取り組んでいきたいと考えております。

再々質問

ただ、第1回目のご答弁とほとんど内容が重複しているわけで、ちょっと聞き方を変えます。
先ほど、市町村がなかなかのってくれないとかいろいろな要素があります、そういうことでなかなか事業化できないということもあろうかと思います。考え方として、例えば、そういうものについては、県単の事業として実施していくということも考えられるのではないかと思います。どうしても市町村がなかなか踏み切れないということについては、補助率を上げていくとか、100%10割県単でやっていくとか、そういうことも視野に入れてやっていかないと、なかなか見直し財源というものが充分に活用しきれないというふうに思います。
さもなければ、先ほど私が条例の再改正も必要なのではないかと申し上げましたけれども、あるいは、この激変緩和期間の延長ということだって考えざるを得なくなってくるのではないかと思うのです。
やはり、どういうふうにご答弁されても、やはり当事者の方々は、この縮減された手当の財源が地域生活支援、しかも身近な政策にしっかり生かされていくということを期待されているわけです。これがなかなか額の面で進まないということになれば、今申し上げたような、あるいは県単で事業を進めていくとか、あるいは激変緩和期間を延長するとかいったことを本当に迫られてくると思うのですが、それについて再度知事のお考えをお聞きしたいと思います。

松沢知事再々答弁

まず1年目にやってみて、さまざまなうまくいかないところがあったのも認めたいと思いますし、またそれを受けて2年目に新たな事業も起こして、市町村ともよく相談しながら、できるだけ有効に重度障害者の皆さんの地域での活動を支えていくための施策をやっていきたいと思います。
それをしっかりと来年度に取り組ませていただいて、その上で、議員ご指摘のように、なかなか使われないという場合には、ご指摘のあったように県単でやっていく、あるいは期間を延長する、あるいは重度重複以外の障害者も対象にするとか、そういうものも当然議論をしていかなくてはいけなくなると思います。
ただ、まずは来年度に向けて、ここ1年、しっかり新しい事業も組み込みましたので、これで対応させていただきたいと考えております。

要望

今知事にご答弁いただきましたが、しっかりと見直し財源が、障害者の方々のための地域生活支援に充当されるように、ご努力をしていただきたいと思います。
残りについては、しっかりと常任委員会等でまた議論を深めることができればと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。