公明党神奈川県議団

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災害対策について

高橋 稔 議員(横浜市港南区)

大規模災害の備えとしての地籍調査の促進について

地籍調査は、全国の約8割の市町村が調査に着手し、約2割は調査を完了しているが、県内で完了しているのは、大井町だけであり、実施中15市町、休止6市町、未着手11市町村となっている。地籍調査によって、個々の土地境界の位置が地球上の座標値と結び付けられるため、万一の災害の場合にも境界を正確に復元することができ、災害復旧の迅速化に効果を発揮する。県では、これまで地籍調査の促進のために、関係市町村に対して普及啓発や支援を行ってきたが、3月11日の大震災以降、地震対策が急務となっていることを踏まえ、津波被害を受ける恐れの高い沿岸地域の市町を優先的に取り組むなど、県が広域的視点で戦略的に地籍調査の促進を考えるべきである。
そこで、地籍調査の意義と重要性について、どのように認識しているのか、また、人的・技術的支援を行うなどして、戦略的に沿岸地域において地籍調査に着手していない自治体や、休止している自治体の解消を早期に図っていくべきと考えるが、併せて所見を伺いたい。

黒岩知事答弁

次に、災害対策について何点かお尋ねがありました。
まず、地籍調査の促進についてです。
はじめに、地籍調査の意義と重要性についてですが、この事業は国土調査法に基づき、事業費の2分の1を国、4分の1を県が負担し、市町村が主体となって土地の境界、面積等を測量するもので、土地取引の円滑化や公共事業の効率的な執行等が図られ、大規模災害からの早期復興にも貢献しているものです。
今回の東日本大震災では、沿岸部が津波により甚大な被害を受けましたが、この地域の約9割で地籍調査事業が実施済みであったことから、境界確定に多くの時間を費やすことなく、迅速な復興事業が可能になると考えられます。
本県は、地籍調査の進捗率が13パーセントと低く、より一層の事業の進捗が必要ですが、沿岸の市町においては、これまで以上に事業の促進を図ることが、災害への備えとして重要であると認識しています。
そこで県といたしましては、県内の全町村を対象として、事業の進め方に関する情報交換会や、市町村職員向けの測量や積算技術研修会の実施、国の「地籍アドバイザー派遣制度」を活用し、藤沢市や大磯町などに対し、地籍調査の精通者を派遣するといった事業支援を行っています。
また、県内で地籍調査事業を実施中の15市町に対しては、引き続き促進を求めるとともに、現在未着手や休止中の17市町村には、早期に事業着手するよう働きかけています。
特に、相模湾沿岸の13市町のうち、未着手や休止中の6市町に対しては、津波被害が想定される地域を優先的に調査するという考え方や、効率的な調査方法などを直接訪問して説明し、事業の早期着手を促しています。
今後とも、地籍調査事業につきましては、積極的な取組みを促すとともに、大規模災害への備えとして、特に効果の大きい沿岸の市町と連携を図り、事業促進に取り組んでまいります。

要望

地籍調査についてでありますけれども、沿岸地域の方、積極的にまずはやっていただくということでいただきました。平成7年の阪神淡路大震災の事例をみましても、当時の兵庫県の地籍調査の進捗率は約10%で、被害の大きかった神戸市の中心部とか、尼崎や芦屋などこういった地域は地籍調査に着手しておられなかったということであります。
それで、兵庫県としても力を入れてこの地籍調査のメリットについて、市町村に働きかけてきたところ、現在、ほとんどの市町村で地籍調査が行われている、とこういう状況になってきております。地震や津波の被害はないことを祈っておりますけれども、万が一の場合に備えて、しっかり兵庫県の例にならって、地籍調査を進めていただきたいと思います。

地震に係るダムの安全情報提供について

平成21年3月の「神奈川県地震被害想定調査委員会報告書」によると、県内で想定されている大規模地震は、南関東地震のマグニチュード7.9とされ、ダム地点での震度も相模ダム地点及び城山ダム地点で震度6弱、三保ダム地点で震度6強とされている。
県管理のダムでは、これらの地震に十分に耐えられるように築造され、日ごろの安全管理も万全な体制を期していると承知しているが、大規模地震発生時におけるダムの安全性について、不安を抱いている地域住民が少なくないのも事実である。これは、ダムについての様々な安全情報が、県民に対して十分に提供されておらず、県民にとって、漠然とした不安感が生じているのが原因ではないかとも考えられる。
例えば、地震発生時に行った緊急点検の結果に異常がなければ「異常なし」といった情報を周知させることも大切であると考える。
そこで、地震が発生した際に、ダムの安全情報を県民に伝えることにより、住民の不安の解消に努めるべきだと考えるが、今後、どのように取り組んでいくのか、所見を伺いたい。

企業庁長答弁

企業庁関係についてお答えいたします。
地震が発生した際のダムの安全情報の提供について、お尋ねがありました。
このたびの東北地方太平洋沖地震を契機に、地震に対するダムの安全性について、県民の皆様の関心が高まってきております。
このため、企業庁では、ダム下流の市町の防災関係部門を直接訪問し、安全性についての説明を行うとともに、ダムの監視室やダム本体の機器等の管理状況について、市町の防災担当職員に直接現場を見ていただき、理解を得るよう努めているところです。
県が管理するダムは、日ごろから、24時間体制で監視を行うとともに、目視による点検や、計測機器を用いた点検を行っております。具体的には、ダム又は近傍地点で地震が発生した
場合には、緊急に、震度4で施設に異常がないか目視による外観の点検を実施します。また、震度5弱以上の場合には、これに加えて、計測機器により異常な数値が示されていないか等の点検を行い、安全管理に万全を期しているところです。
地震発生時の県民の皆様の不安の解消を図るためには、ダムの管理状況を速やかにお知らせすることが有効と考えますので、今後、大きな地震が発生した場合には、ダムごとの緊急点検の結果について、県のホームページで公開し、携帯電話やスマートフォン、パソコン等で確認できるよう、市町とも連携して、情報提供の充実に努めてまいります。

境川及び引地川の整備促進について

台風や昨今の異常気象の増加を考えると、都市部においていわゆるゲリラ豪雨が懸念される中、自然災害に対する整備とりわけ河川整備をより一層推進していく必要がある。 本県においても、都市部を流れる境川及び引地川については、これまで都市河川重点整備計画に位置づけられ、本格的な河川改修が行われており、境川では、境川遊水地の整備が進められ、一部供用開始しており、引地川では、既に大庭遊水地が完成し、現在は、下土棚遊水地の整備が進められている。 自然災害から県民を守るため、河川改修は、下流から順次進めていく必要があることは理解するが、遊水地の上流部には、橋梁や河川の蛇行で水が流れにくい箇所もあり、早期に治水上の安全が図られるべきと考える。 そこで、境川及び引地川について、現在、事業中の遊水地の進捗状況と両河川の今後の整備の進め方について、所見を伺いたい。

黒岩知事答弁

次に、境川及び引地川の整備促進についてです。
県では、過去の大雨で水害が発生した河川や、都市化の進展が著しい地域を流れる河川について、平成22年3月に「都市河川重点整備計画」いわゆる「新セイフティリバー」を定め、境川、引地川とも、時間雨量概ね60ミリメートルの降雨に対応する整備を重点的に進めています。
まず、境川の遊水地の進捗状況ですが、この遊水地は3つの池からなり、俣野及び下飯田遊水地をすでに供用し、これまで、18回、洪水を貯めて河川の水位を下げ、下流の浸水被害の軽減に大きく貢献したところであり、現在は、平成20年度に工事に着手した今田遊水地の整備を進めています。
また、引地川の下土棚遊水地の進捗状況については、平成18年度から、事業に着手し、現在、用地買収率は9割を超え、平成22年度からは、遊水地本体の工事に着手しています。
次に、境川の今後の進め方ですが、今田遊水地は、平成25年度の完成を目指し、整備に取り組むとともに、今年度から、遊水地より上流で、橋梁や河川の蛇行により、水が流れにくい箇所の調査に着手しており、今後、この箇所の整備に向けて、橋梁の管理者と調整を進めてまいります。
引地川では、まずは、下土棚遊水地において地権者のご協力をいただき、残りの用地買収を進め、平成27年度の完成を目指して整備に取り組んでまいります。あわせて、上流部の河川改修のための調査も進めてまいります。
大変厳しい財政状況ではありますが、今後も「新セイフティリバー」に基づき、境川、引地川の河川改修を、着実に進めてまいります。

要望

境川、引地川については、遊水地の整備を進めながら、上流についても調査、そして、また整備を取り組んでいただけるということで、大変ありがとうございました。
今日も台風の影響が非常に心配されているところであります。今、こうしている間にも流域の住民の方々は不安に思っていらっしゃると思います。一日も早い整備をお願い致します。