公明党神奈川県議団

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シルバー・ニューディール政策の推進について

赤井 かずのり(平塚市)

質問要旨

(1)シルバー・ニューディールの推進について

県が策定した「かながわグランドデザイン基本構想」における政策の基本方向では、「高齢者を標準とするしくみづくり」という言葉が用いられている。
急速な高齢化により、超高齢社会の到来が見込まれる中で、「高齢者標準社会への変革」、これは、高齢者のための社会ではなく、この社会のすべての人々のための優しい社会へと変革することである。
そこで、こうした社会変革をすること、新産業や雇用の創出など、知事の言う経済エンジンを回す原動力になるものと考えるが、本県として、シルバー・ニューディールの推進について、どのように取り組んでいくのか、所見を伺う。

黒岩知事答弁

次に、シルバー・ニューディールの推進についてお尋ねがありました。
シルバー・ニューディールとは、高齢者向けに新たな技術に基づいた商品やサービスの開発により、新たな雇用や産業の創出と高齢者を取り巻く課題解決に結びつけるものであると受け止めております。
今後、超高齢社会が進展する中で、多数派となる高齢者の視点に立って、若者から高齢者まで、誰もが安心していきいきと暮らせるよう、高齢者を標準とするしくみづくりが必要となります。
そこで、県は、かながわグランドデザインにも位置付け、本年度は、高齢者を標準とする社会づくりの検討を開始することといたしました。
具体的には、有識者による検討会を設け、本県の高齢者を取り巻く社会環境などの将来像や課題を明らかにしてまいります。
その上で、高齢者人口がピークを迎える20年先において、医療・介護・福祉・雇用・まちづくりなどの分野で、どのような社会にすべきかについて、中・長期的なビジョンを検討いたします。
こうしたビジョンによる社会変革を具体的に進める中で、新たなビジネスチャンスなど、シルバー・ニューディールの考え方が実現するものと考えております。

再質問

最後に再質問ですが、高齢者を標準とする社会という点で、検討会を今設けて、社会創出の重要な4つの分野が、医療、住宅・都市、移動・交通・モビリティ、つながり・コミュニケーション、この4つが大事なポイントだというふうに言われております。  そういう意味では、神奈川県は全国一高齢化率が速いというふうにも言われておりますので、神奈川がモデルをつくれば、これから他の県にも、あるいは東南アジア諸国にも輸出をすることができる社会モデルになるのではないかと思います。  どうか、そういう意味では、知事の全世界、全国へ展開をするという、輸出産業の苗床になるという、この抱負について、最後にお伺いしたいと思います。

黒岩知事再答弁

それでは、お答えいたします。
私は、「いのち輝くマグネット神奈川」という言葉を繰り返しているということ、それと「日本を再生する神奈川モデルをつくろう」と言っているということ、それは、真に議員と全く同じ思いであります。
超高齢社会がどこよりも速くやって来るこの神奈川において、それを乗り越える形をつくりたい。それは、言葉を変えれば、いのちが輝くような神奈川であるということですね。
ただ単に、医療が最先端になるだけではなくて、医食農同源、食にも非常に大きな意味がある。暮らしのスタイルの中から、病気にならなくしていくような形という、真にモデルというものをつくって行きたいというのが一つであります。
それとともに、最先端の技術を使って、ICTやロボットというものを使って、そして、その介護現場でも、さわやかに働けるようになってくると、こういうふうなものをつくって行きたい。
真に、モデルをつくって、できたときに、いのち輝く神奈川ができるのでないかと思っておりまして、これができた時に、これこそが、真に日本を再生する神奈川モデルになるわけでありまして、さらに、それが、世界に発信する神奈川モデルだろうという思いで、これを一生懸命進めてまいりたいと思っているところであります。

要望

得意の「神奈川モデル」というようなお話をいただきました。
いずれにいたしましても、65歳、団塊の世代の人達が、今年から65歳を迎えるという非常に大事な年になって来ております。
私自身もそういう年になりましたので、どうか、そういう意味では、私自身が先頭に立って、その高齢者を標準とする社会のしくみづくり、私も一生懸命、知事と一緒になってがんばって、神奈川がモデルとして、全国に、全世界に発信できるように進んでまいりたいと思いますので、どうかよろしくお願いします。
丁寧なご答弁、大変ありがとうございました。以上で終わります。

質問要旨

(2)認知症サポーターの養成について

本県は、全国を上回るスピードで高齢化が進んでおり、いわゆる「団塊の世代」が65歳以上となる平成27年には、超高齢社会が到来する。
このことに伴い、認知症についても、増加が見込まれるところであり、厚生労働省の推計によると、我が国の認知症高齢者の数は、平成22年から平成27年の5年間で大幅に増加することが言われている。
認知症は、多くの人に起こりうる病気で、認知症についての正しい知識を、誰もが持つ必要がある。
認知症を正しく理解し、認知症の人や家族を暖かく見守り、支援する認知症サポーターの養成は重要であり、今後、養成を進める中では、小、中、高校生も対象としていくような工夫が必要と考える。
そこで、今後、認知症に関する理解の普及促進のために、認知症サポーターの養成に向け、具体的にどのように取り組んでいくのか、所見を伺う。

黒岩知事答弁

次に、認知症サポーターの養成についてであります。
認知症は、誰もがなり得る脳の病気であり、家族はもとより周囲の方々が正しい知識を持ち、地域の方々の理解と協力の下で、認知症の方や、その家族を支えていくことが重要であります。
このため、認知症の方や家族への声かけや見守りなどをしていただく「認知症サポーター」の養成を、市町村が主体となって進めております。
しかし、養成数では、全国で上位を占めるものの、総人口比でみますと、平成22年度末では、ワースト1となっておりました。
そこで、県は、昨年度、県内の企業にご協力をいただき、企業内研修等で自主的にサポーター養成ができるよう、講師役を44名養成いたしました。
また、市町村の取組みに加え、県でも、学校や企業への出前講座や、県内10箇所で養成講座を実施し、私も受講して、認知症サポーターとなりました。
こうした取組みにより、平成23年度末には、養成数が約12万8千人に達し、総人口比で全国45位と、ワースト1は脱出したところであります。
今後は、小、中、高校生を含め、広く認知症サポーター養成数の拡充を図るため、インターネットを活用し、短時間ずつ学べるeラーニングの研修ソフトを作成し、いつでも、どこでも手軽に受講できるようにいたします。  そうした取組みを通じ、引き続き市町村とも協力しながら、認知症の正しい理解の普及により、認知症の方とその家族への支援に努めてまいります。

要望

認知症サポーターもインターネット、これも新しい試みだと思いますので、ぜひ、積極的に進めていただきたいと思います。

質問要旨

(3)傾聴人材の育成について

傾聴とは、人の話をただ聞くのではなく、注意を払って、より深く、丁寧に耳を傾け、自分の訊きたいことを訊くのではなく、相手が話したいこと、伝えたいことを、受容的・共感的な態度で真摯に聴く行為や技法を指す。
傾聴力、傾聴スキルを身につけることは、福祉や医療等の専門的な分野だけでなく、県民と接するあらゆる場面で役立ち、県民サービスの向上に繋がる。また、組織内部のチーム力のアップやコミュニケーションの円滑化により、業務効率のアップにも繋がる。
さらに、災害時には、この「傾聴力」が、被災者の心のケアのみならず、災害支援にあたるスタッフの心のケアにも役立つ。
そこで、相手の話によく耳を傾け聞くことにより不安等を軽減し円滑なコミュニケーションを可能にする、「傾聴力」を持った人材を多く育成するため、まずは県職員に対して傾聴力を身につける研修等の取組みを実施することが効果的と考えるが、所見を伺う。

黒岩知事答弁

次に、傾聴力を持った人材の育成について、お尋ねがございました。
県政の推進にあたっては、職員が毎日の仕事の中で、県民の皆様の声をしっかりとお聴きすることが基本であり、職員の高いコミュニケーション能力、とりわけ聴く力は重要と考えております。
私が経験してきたキャスターという仕事は、まず相手の話をよく聴き、話を引き出していくことが基本であります。
そうした経験から、知事となった今も、「県民との対話の広場」や現場訪問などで、神奈川の様々な現場に直接赴き、地域の皆様の声を聴き、話をしながら、県政の課題に取り組むことを何よりも大切にしているところであります。
お話の「傾聴」は、県職員にとって様々な場面で必要な能力でありますので、職員のコミュニケーション能力を高めるための研修の中で、聴く技術や聴く態度を実践的に習得させております。
平成22年度から2年間で既に約2千人を超える職員がこの研修を受講し、今年度も約1,600人を予定しており、引き続き職員の能力向上に努めてまいります。
私も、職員に、ぜひ聴く力を高めてもらいたいという思いから、知事就任以来、新採用職員から管理監督者まで幅広い職員を対象に、「職員との対話の広場」を積極的に行ってまいりました。
今後、こうした機会を通じて、より多くの職員に「傾聴」の大切さを伝えていきたいと考えております。

質問要旨

(4)福祉・介護ロボットの普及促進について

本県は、福祉・介護ロボットの将来性にいち早く着目し、介護ロボットの普及事業に取り組んできており、全国に比べ、大きなアドバンテージを有している。
今後も、介護現場のニーズに合った、より優れた介護ロボットの開発支援や、現場への普及促進に一層強力に取り組んでいくことで、高齢化の進行のスピードが全国トップクラスと見込まれる本県の介護サービスを取り巻く人材確保など様々な課題の解決につながり、また、介護ロボットの製品化や導入が進むことで本県の地域経済の活性化も期待される。
そこで、「介護・ロボット普及推進センター」の実現化に向け、今後、県としてどのように取り組んでいくのか、また、センターの実現化に関する取組みと併せて、介護ロボットの普及促進にどのように取り組んでいくのか、所見を伺う。

黒岩知事答弁

最後に、福祉・介護ロボットの普及促進についてであります。
超高齢社会が到来する中、介護ロボットの開発・普及は、介護現場の負担軽減だけでなく、新たな産業の創出といった観点からも、大変重要であり、県は、本年度、新たに、「介護ロボット普及推進事業」を実施することといたしました。
この事業では、介護現場で日常的に介護ロボットを利用し、そこを介護ロボット普及推進センターのショーウインドウとして、介護事業者向けに紹介する取組みを進めることとしております。
具体的には、ショーウインドウとする介護事業者を公募し、実用段階にあるパワーアシストスーツ「ハル」など4機種を実際に導入してもらいます。
その後、ロボットを活用している現場や操作方法などについて、8月から他の介護事業者に視察・見学していただきます。
また、こうした取組みと併せて、介護ロボットを導入した経験のある施設職員による使用効果や、課題等について事例発表を行う「介護ロボット展示・説明会」を県内3箇所で開催いたします。
さらに、県民の方々にも、介護ロボットに関する理解を深めていただくため、11月の介護の日に合わせて、「介護ロボット普及推進フォーラム」を開催し、ロボットの展示、説明と、普及の現状などをテーマとしたシンポジウムを行うこととしております。
今後は、介護ロボットの普及促進に向けて、県が、開発関係者と介護事業者の仲介を行い、着実に介護現場での利用が広まるよう、関係者との連携、協働の下、積極的に取り組んでまいります。
私からの答弁は以上です。