公明党神奈川県議団

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県の福祉分野における専門人材の確保と育成について

小野寺 慎一郎議員(横浜市旭区)

小野寺議員質問

 最前線の福祉を現場で担う福祉職の人材確保に苦労しており、また、知識や技術の継承など、職員の育成に苦慮している。
 児童相談所では、研修を充実させるのはもちろん重要であるが、即戦力となる経験者の採用にも取り組むべきである。
 また、保健福祉事務所や精神保健福祉センターは、コロナ禍で自殺や精神疾患の増加が危惧される中、精神保健福祉分野の高度な専門性が求められており、体制強化が必要と聞く。総合療育相談センターは、多くの専門職との連携が必要であり、高度な専門性に裏付けられた調整能力を有する福祉職の育成が急務である。
 県民生活に直結する様々な福祉ニーズに対応しうる専門人材について、今後も確保と育成両面から拡充を図るべきである。

 そこで、福祉の最前線の現場で、直接県民に対する支援を担う福祉職をどのように確保していくのか。また、人材育成をどのように進めるのか、所見を伺いたい。

知事答弁

 県の福祉現場では、精神や障がい福祉など、それぞれの分野で事案が複雑困難化しており、第一線で対応する福祉職の役割はますます重要となっています。
 また、児童虐待相談の増加に対応するため、児童福祉法が改正され、児童相談所の職員の大幅な増員が求められています。
 これまで県では、採用予定数を単に増やすだけでなく、採用試験を年2回行うなど、工夫して人材確保に取り組んできました。
 また、職務経験や知見を持った即戦力を確保するため、平成26年から任期付職員、平成30年から児童心理の有資格者、令和元年から福祉分野の経験者の採用を開始するなど、多様な人材の確保にも努めてきました。
 人材育成については、OJTのほか、福祉職の人材育成指針に基づき、採用後10年程度の間に、障害福祉施設や、児童相談所等の複数の異なる分野を経験し、幅広い視野の習得や、業務適性の見極めを行っています。
 その後、本人の希望を聞きながら軸となる専門分野を決めてキャリアを積むなどの育成を行っています。
 こうした中、福祉職の採用は、本県と同様に近隣自治体でも課題となっており、競争状態にあります。確保にあたっては、キャリアプランの充実等による神奈川らしい魅力づくりや、その発信が必要です。
 また、本県が進めている「当事者目線の福祉」を担える職員など、より高い専門性を有する人材の育成が急務となっています。
 そこで今後は、「当事者目線の福祉」を担う人材育成に向け、先駆的な取組を行っている民間施設等との交流や、当事者団体との連携など、より実践的な研修カリキュラムを整備していきます。
 さらに、県立保健福祉大学など教育機関と連携し、専門性を高める人材育成策を検討していきます。
 併せて、こうした神奈川らしいキャリアプランを構築していることを、県の福祉職の魅力として、大学や専門学校等の養成機関に、積極的に発信し、本県の福祉職を希望していただけるよう、取り組んでいきます。
 引き続き、様々な人材確保策を行いつつ、神奈川らしい人材育成や、その魅力を発信して、着実に人材の確保と育成に努めてまいります。

再質問

 福祉分野の専門職においては、全般的に経験の浅い職員の比率が増えてきて、どのように知識や技術を継承するのかということが喫緊の課題となっているが、精神保健福祉分野においては、高度な専門性が求められる上に、業務も急増していることから、その確保と育成をどのように行っていくのか、伺う。
 また、福祉分野における専門人材という点において、福祉の現場である総合療育相談センターでは、療育分野を担う看護師や理学療法士、作業療法士、言語聴覚士等、機能訓練指導員の確保・育成が課題になっている。障がいのある子どもの成長を助ける療育という分野はなかなか認知が深まらないこともあるが、この分野を目指していただくために県内の看護師養成機関等に働きかけて、障がい児の看護や機能訓練指導員に理解を深めてもらうことや、センターの外で経験を積むことが難しい看護師や機能訓練士のキャリア形成のために県立病院等との連携を図ることなどが考えられるが、療育分野の看護師や機能訓練指導員をどのように確保・育成していこうとしているのか、所見を伺う。

再質問への知事答弁

 精神保健分野の福祉職は、県のジョブローテーションの中で、様々な分野を経験し、幅広い視野を身に付けたうえで、適性のある人材を配置しています。
 また、専門性を高めることについては、職場でのOJTのほか、新たに医療機関や教育機関への派遣研修などを検討していきます。
 ご質問の精神保健分野をはじめ、県の福祉職については、様々な分野で、より高い専門性などが求められていますので、今後も、より効果的な人材の確保や育成に向けて、不断の努力を続けてまいります。
 また、総合療育相談センターでは、障がいのあるお子さん一人ひとりの心身の健全な発達に向け、医療や機能訓練、相談支援などの「療育」を実施しています。
 そこで、「療育」という分野の魅力や業務をわかりやすくPRしたパンフレット等を、改めて養成機関に配布するなどして、人材の確保に努めていきます。
 育成については、専門性を高めるため、新たに、療育分野の他の医療機関等で、研修や交流を行うことを検討していきます。

要望

 県職員の募集においては「福祉職」として一括の募集が行われていることもあり、精神保健福祉分野での就職を目指す人が、この分野に特化して採用のある他の自治体に流れてしまうことがあると聞いている。あるいは福祉職全体で採用したときに、欠員の深刻な児童相談所に持っていかれることもある。どの分野においても人員が不足していることは承知しているが、特に精神保健福祉分野については、保健福祉事務所等の現場からの要望も大きいため、精神保健福祉分野単独で採用することも検討していただきたい。
 また、総合療育相談センターの職員については、採用が難しく、療育という分野が深く理解されていないこともある。先ほど申し上げたようにセンター以外の場所でスキルを磨く機会が得られないという問題もある。神奈川リハビリテーション病院、あるいはこども医療センターといった専門の病院と交流できればいいが、地方独立行政法人等、公益的法人等の一般職の地方公務員の派遣等に関する法律というものがあり、制度上難しい。こうした障壁を取り除く努力もしてほしい。
 また、総合療育相談センターは限られたスタッフが多くの業務を担っている。そのあり方については改めて議論したいと思うが、機能の分散化等、機関として持続可能たらしめるための検討を要望する。