公明党神奈川県議団
中小企業の成長ステージに応じた支援について
おだ 幸子議員(藤沢市)
おだ議員質問
企業には、創業期、成長期、成熟期といった成長ステージがあり、そのステージ毎に必要な支援も異なる。例えば、成熟期には事業承継に向けた支援が必要だが、実際に事業承継セミナーを開催している会社に聞くと、参加者の7割は「廃業」を希望する経営者であり、相談先が分からずに参加しているとのことであった。事業を閉める際には多岐にわたる専門的な対応が必要であることから、専門家等に相談できる窓口の設置について検討する必要がある。
これまでの中小企業政策は、中小企業が、困難な状況を乗り越え、持続的に成長して行けるよう支援していくことに主眼を置いてきたが、今後はそれに加えて様々な事情から事業を閉じることを検討している事業者が円滑に事業整理するための支援も必要だと考える。
そこで、中小企業の成長ステージに応じた支援の現状と、今後どのように取り組んでいくのか、所見を伺う。
産業労働局長答弁
県は、中小企業がそれぞれの成長ステージにおいて直面する困難に対して、神奈川産業振興センター/KIP等と連携して、状況に応じた支援をしています。
例えば、創業期には、様々な情報提供や低廉な価格での事業スペースの提供、成長期には、販路拡大に向けた商談会開催や稼ぐ力をつけるための補助金交付、そして成熟期には、円滑な事業承継のための専門家派遣等、段階に応じてサポートしています。
併せて、各段階に応じた制度融資メニューを用意するとともに、KIPの相談窓口で、中小企業診断士や税理士等の専門家が事業者ごとの多様な悩みに、丁寧に対応しています。
一方、令和4年の民間の調査によると、休廃業・解散した県内の企業は3,195者で、4年連続で減少したものの、3年以上に亘るコロナ禍や長引く物価高騰の影響等から、将来不安が高まり、決算が黒字にも関わらず、余力を残したまま事業を畳む、いわゆる「あきらめ型の休廃業」が増加しているとのことです。
こうした状況に鑑みれば、中小企業支援は、企業の持続的な成長・発展を支えることを基本としつつ、やむを得ない事情により事業を整理することになった際には、周囲への影響を最小限に止め、円滑に廃業できるような取組が求められます。
そこで、県は、中小企業の創業期から成熟期までの成長ステージに応じた支援を、引き続き支援機関と連携してしっかりと行いながら、事業を整理する際にも、事業者に寄り添ってサポートしていきます。
具体的には、休業・廃業に係る相談について、現在はKIPの総合相談窓口で対応していますが、円滑に事業を閉じるためには、様々な準備や対応が必要なことから、今後、専用窓口の設置を検討していきます。
また、日々、中小企業に身近に接している商工会・商工会議所等の支援機関が、そうした相談を拾い上げ、着実にKIPの支援へと繋いでいけるよう、連携強化を働きかけていきます。
こうした取組により、県と支援機関がしっかりと連携して、今後も様々な成長ステージにある事業者を丁寧に支援してまいります。
要望
廃業というとマイナスなイメージに捕らわれがちですが、資産が負債を上回っているうちに、円滑に事業整理をすることが、経営者や関係者のその後の人生にとって、プラスの効果をもたらすと考えます。
ハッピーリタイアメントも前向きに認められる社会になるよう、意識と仕組みを変えていく取組をお願いいたします。